SONY製DATデッキにはいくつかの姉妹機が存在します。そのひとつがタイトルにも書きましたがDTC-57ESとDTC-A7です。
DTC-57ESは1991年発売、一方のDTC-A7はその約2年後、DTC-57ESの後継機であるDTC-59ESとほぼ同じ時期に発売されています。ただし、DTC-A7は、あくまでも業務用での使用を前提に開発されており、DTC-57ESをベースに細部の改良が加えられ、より安定性や信頼性が高められています。フロントパネルのデザインは全体的には同じ雰囲気を持っており、DTC-57ESはゴールドとブラック、DTC-A7はブラックモデルのみ設定されていました。
では中身はどうかといいますと、
左がDTC-57ESですが、かなり似ているのがわかると思います。メインの基板が異なりますが、コネクタ類、電源やデッキメカはほぼ同一です。
DTC-57ESは、洗練されたデザインでこれまで一番売れたDATデッキと言われていて、現在も人気が高く動作品で2~3万円程度で販売されています。一方、DTC-A7は、業務用に特化したデザインのためか、比較的人気が低く、現在はDTC-57ESよりも1万円前後安価で取引されていますが、DTC-57ESが持つさまざまなウィークポイントからフィードバックを受けてメカや回路が改良されているという優位性を有しています。
また、DTC-A7に使用されているメカ、電源、基板はすべてDTC-57ESに流用が可能ですので、万一DTC-57ESが故障した際は、DTC-A7からユニットごと移植するという選択肢があります。デザインはDTC-57ESが絶対的に好みという方は、故障した際に中身をごっそりDTC-A7に変えるというのも技術的には可能です。
ただし、DTC-A7の基板を流用する際には1点だけ加工が必要です。DTC-A7にはカセットを照らすランプがありませんので、基板にランプ用のコネクタがついていません。
これはDTC-57ESのメイン基板に搭載されているサブボードの回路図ですが、CN556というコネクタの18番に「LAMP」と書いてありますね。DTC-57ESは、ここからランプ用に約6Vの電圧を取り込んでいます。DTC-A7ではサブボードはメイン基板と一体化していますが、上図とまったく同じ回路がありますので、IC316の8番ピンあたりからランプ用の電源を配線することができます。