今回はSONY製DATデッキ全機種に関わる記事です。
再生不良ということでDATデッキをお預かりしました。機種はDTC-690です。先日修理したものとは違う機体ですが、ノイズが酷いとのことです。
DTC-57ESあたりの機種ではRFアンプの基板実装型電解コンデンサーの劣化が原因でノイズが発生することはありますが、DTC-690ではそういった話は聞いたことはありません。
再生してみると、確かに頻繁に「ザー」といったデジタルノイズが再生音に混じります。そこで、ヘッドからの信号を見てみると、不定期に波打ちが起きています。これはテープ走行が不安定なときに見られる状態です。
メカの状態を覗いてみると、ピンチローラーが異常に光っています。ピンチローラーというのは、キャプスタンの回転を確実にテープに伝達する役割を担っており、テープ走行において非常に重要なパーツです。
どうやらピンチローラーの表面が経年変化により硬化し、テープがスリップしていることがノイズの原因のようです。表面を軽く研磨し、専用クリーナーS-721Hでクリーニングし、ノイズは発生しなくなりました。
SONY製のDATは、同社のカセットデッキのものと比べて、ピンチローラーの硬化が進行しやすいように感じます。材質が異なるのかはわかりませんが、定期的にメンテナンスを行うことがトラブル防止のためには必要です。