SONY製DTC-ZA5ESの修理依頼をいただきました。不具合個所は、テープ挿入後に「CAUTION」表示され再生不能ということと、「トレイが勝手に閉まってしまう」というものです。
機器が到着しましたので、早速動作確認を行います。
期待を裏切られました。まったく不具合なく動作しました。おそらく、グリスやゴムベルトなどが劣化し室温や湿度などの影響を受けやすい状態になっているものと思われますので、不具合の原因を取り除くために分解点検を進めます。
まずはメカを取り出して、トレイメカのメンテナンスを行います。
可動部はすべてシリコングリスを塗布し摩擦を低減します。プラスチックパーツが多いのでCRCは厳禁です。
「トレイが勝手に閉まる」不具合で一番の原因は、ここの可動部の摩擦力が強くなっていることですが、すでにグリスらしきものが塗布されていました。
続いて心臓部に着手します。メカ底部の基板を取り外し、構成ユニットを点検します。
リングギアの固着は無いようですが動き自体はスムーズではありません。
リールモーター、キャプスタンモーター、リングギアを取り外し点検を行います。
古いグリスが硬くなっていて動きが重くなっています。
CRCで古いグリスを丁寧に除去し、再グリスを施します。動きが滑らかになりました。
リングギアを取り付け中に、メカ部から何かが落ちました。見てみると、写真の左に写っている円柱状の小さなパーツです。てっきりテープガイドが外れたのかと思いましたが、違いました。右に写っている可動式テ-プガイドの構成パーツです。
いままで特に意識したことはありませんでしたが、可動式テープガイドがレール上をまっすぐ進むためのガイドのようです。圧入されている部品ですが、スカスカでしたので接着剤で固定しました。
キャプスタンモーターも不具合がありませんでしたが、なぜか型番が手書きで書かれていました。以前修理されたときにアルコールか何かで消してしまったんでしょうか?
2DDのリールメカの点検です。ブレーキパッドの状態を調べます。
大変良好です。問題ありません。
メカを組み立てて、試運転しましたが、オーナー様のお話のとおり、トレイが勝手に閉まります。というより完全に開ききらずに閉じてしまいます。最初に点検したときは正常でしたが、開閉用のベルトがスリップしています。やはり湿度などの影響を受けているようです。手持ちのゴムベルトが無いので、写真の仮ベルトを装着し動作確認を行います。
動作良好です。テープパスの狂いもありません。注文したゴムベルトは2・3日後に到着予定ですので、その後に交換し修理完成です。
【2017/12/12追記】
注文したベルトが到着しました。動作良好です。