今回はSONYのカセットデッキ、TC-K555ESAの「ベルト交換」の依頼を受けましたので、注意点も含め解説していきます。SONYのカセットデッキは、ESGシリーズ以降の555、333、222及びA7、A5、A3のデッキメカはほぼ共通ですので、ベルト交換方法も同一です。
今や555シリーズは高嶺の花でなかなか手が出ません。早速作業に移ります。
トレイの開閉はできますが、ヘッドブロックが持ち上がりません。典型的なベルト劣化による症状です。
大きな電源部が高級機、高性能機を物語っています。
デッキメカを固定している上下4本のビスを緩め、メカを取り出します。外しにくいときは、フロントパネルを固定しているビス2本も緩めましょう。
メカに向かって左側のスプリングとプレート、カセットホルダーの左ヒンジ部の留め具を外します。
そうするとカセットホルダーが簡単に外れます。
続いてバックプレートを固定している上部2本の黒いネジを外します。コネクタを無理に引っ張ると壊れますので要注意です。
アイドラーを外します。
左右ピンチローラーを外し、キャプスタンモーターを固定しているネジ4本を外し分離します。左側ピンチローラーは、最後にテープパス調整が必要になりますので、ノギス等々を用いて、外す前の位置を計測しておきます。
モーターを固定しているネジ5本を外します。1本だけ長さが違うのでメモします。モーターブロックと一緒にギヤなどが外れることがありますので、ゆっくり慎重に外します。組むときに悩みますので白や黒の樹脂製パーツには触れないようにしましょう。
外したベルトは伸びたラーメンのようにふにゃふにゃになっています。
新しいベルトをこのように仮組みします。
あとは元通りに組んでいきますが、2点注意が必要です。ますはロータリーエンコーダーの位置です。黒いギヤの突起部をエンコーダーのくぼみに合わせます。
もう一か所は写真中央のマイクロスイッチの突起部です。右の写真のように収まるようドライバーで押してやります。これに気が付かないとスイッチを壊します。
モーターブロックを固定した後、仮組みしてあったベルトをピンセットで引っ張りプーリーに掛けてやります。後は元通りに組み付けて完了です。
ところが、試運転しましたが音が出ません。電源部の過電流保護素子ICP-N20が絶縁しています。スペア部品がありますので問題ありません。
無事完了しました。今回はオーナー様のご都合で「ベルト交換」のみの修理でしたが、アジマス調整も行い動作音質良好となりました。