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オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

XK-S7000

AIWA XK-S7000

投稿日:2018年2月17日 更新日:

このところ初登場の機器が続いています。今回はAIWA製3ヘッドカセットデッキ、XK-S7000の修理です。数年前にXK-009の修理を行って以来のAIWAデッキです。オーナー様のお話ではベルトが溶けているとのことです。

このデッキには他社製にはないユニークなアイデアが盛り込まれています。ひとつはテープ振動を徹底防止するためのスーパーA・M・T・S(Super Anti Modulation Tape Stabilizer)で、カセットハーフを強力な力で押し付け、テープの振動による影響を減少させています。

もうひとつは、底板に1.5cm厚のMDFボードを装備し、デッキ全体の共振を防止しています。

早速開腹しました。電源部とメカはシールドされています。

メカを取り出すためにシールド板を取り外し、固定ビス(上1、下2)を外します。

電動トレイは開きませんが、この黄色いギアを手で回すとカセットトレイが開きますのでリッドを取りはずせます。

メカに接続されているケーブル類を外すのですが、2本が基板の下に潜り込んでいましたので、MDFの底板を取り外します。

半田付けです。メンテナンス性を考慮してコネクタにしてほしかったですね。基板には「アース」「アオ」「シロ」とプリントされていますので誤接続の心配はありません。

ようやくメカを取り出しました。フロントパネルは外さなくてもOKです。

左の写真はキャプスタンベルト(手前とその後ろの2本あります)、右はトレイ開閉用のベルトですが溶けて無くなっています。

アルコールと綿棒などで丁寧にふき取ります。手も服も汚れますので、作業服に着替えてから作業をすることをお薦めします。

ここで、少し戻ってメカの分解方法を書いていきます。まずはメカ向かって左側です。

ピンぼけですが、写真中央のEリングを外します。

ここの強力なバネを外した後、右写真のユニットを取り外します。

組み立て時はここに注意です。写真中央の金色の突起はその下の穴に入ります。

続いてメカ向かって右側です。中央上下の金色のビス2本と、後ろ側の1本を外してパネルを取り外します。これでトレイが外れます。

トレイには細いケーブルが接続されていますので切らないよう注意し、前方にトレイを引き出します。そして右写真の中央ほどにあるビス、その下にあるビスの計2本を外します。

これでやっとトレイ開閉メカを分離できます。

ベルトを交換するためにはこの黄色いカムギアを外す必要がありますが、若干構造が複雑です。上部に2か所、裏側に1か所に、ピンが正規の位置に入るように組み立てなければなりません。

このギヤを回すにはかなりの力が必要です。ベルトのサイズはキツ過ぎず、緩過ぎずと結構シビアです。

熱中して写真が不足していますが、キャプスタンモーターは、固定している4本のビスを外しパネルごと取り外します。右は清掃後です。ベルトは同サイズのものが2本、GX-Z9100やTC-K555ESLなどと同サイズのものでOKです。

後は元通り組み立てて本体に組み込みます。

動作良好です。最後にテープ速度、ヘッドアジマス等の調整を行い修理完了です。久しぶりにAIWAのデッキを聴きましたが良い音が鳴りますね。

※2018/2/18追記

調整を終え、カセットリッドを取り付けました。すると、なぜかトレイが閉まりません。イジェクトボタンを押すと電動で閉まろうとするのですが、すぐに開いてしまいます。リッドがフロントパネルか何かに当たっているのでしょうか?

何度やっても同じです。そこで、フロントパネルを外した状態でカセットリッドを取り付けて試してみると、今度は正常です。やはりどこかが当たっていると思い、メカやフロントパネルの取り付け状態など点検しましたが特に問題は見当たりません。

数時間が経過しました。イジェクトボタンを押してトレイが閉まり切るときにメカの上部を触るとキチンと閉まりました。その箇所を見てみると、明かな異状が発見されました。

中央にレバー状のものが見えると思います。カセットの上部に当たる部分ですが、2つ並んでいるうちの左側が折れています。サービスマニュアルで調べてみると、このレバーは、カセットがローディングされたときにテープをロックするためのスイッチであることがわかりました。

そのためテープがロックされずにトレイが開いてしまったようです。では、なぜフロントパネルが無いときに正常に動作したかというと、うまく説明できませんが、レバーの上部にある黒い金具がちょうどいい具合にレバーの根元を押し付けて、スイッチがONになったというものです。

今日はこの後、このレバーの修復作業を行います。

いろいろ調べていると理解不足がありました。これはXK-S7000の組立図ですが、図の35番が問題のパーツです。隣の34番と同じに見えましたが、よく見ると形状が異なります。しかし、現物とも形状が異なるように見えます。どちらが正しいのでしょうか?

そこで、ネットで同型機の修理記事を検索したところ、問題の箇所を撮影した写真が見つかりました。結果としては、今回の機体に「破損は無い」ということがわかりました。ということはやはりリッドがフロントパネルに接触しているとしか考えられません。

再びフロントパネルを一旦取り外し、試行錯誤を繰り返しているうちに、閉まり切るポイントが見つかりました。

これでやっと修理完了です。念のため1~2日試運転を行いオーナー様に納品をする予定です。

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