CD-Rやシリコンオーディオの台頭により、DATデッキが製造中止されてからもう20年ほどが経過し、テープの製造も数年前に打ち切られてしまいました。それでも私も含め、まだまだ根強い人気があるのも事実です。
では、DATデッキは今現在、どういった目的で使用されているのでしょうか?お客さまとのやり取りなどから、次のようなことが挙げられるかと思います。
1 現在では入手できない音源(ライブなどの生録、FM音源)の再生 ~ 今や過去に発売されたアナログメディアのほとんどがCDなどにデジタル化されていますが、「アマチュアの演奏会」「いわゆる海賊版として流通したレコード」「FMでのみ放送されたプロのライブ演奏」などをDATの長時間録音のメリットを活用して録音された音源の再生に使用されています。
2 PCへの取り込み ~ 上記と重複しますが、大量の録音されたDATテープをお持ちで、そのデータをPCに取り込むためにデッキが必要となり、機器を購入または修理されるといったケースが多くあります。
3 長時間録音 ~ DATは180分テープを使用してLPモードで最大6時間の録音が可能で、FM放送の長時間録音に対応することができます。PCを使用してもそれ以上の録音が可能ですが、録音に至るまでの手軽さ、失敗の少なさからDATを選択される場合があります。
4 趣味 ~ 私はこれですが、シリコンオーディオでは味わえない「デッキ」「テープ」を使用する楽しみを満喫するために使用します。「テープのラベルやケースの作成」「ライブラリの保管」「テープをケースから取り出してデッキに装填する儀式」「テープの回転を目で確認」など、さまざまな楽しみ方があると思います。
上記以外にも使用方法はあるかと思いますが、1から3までの理由だけであれば、いずれ完全にシリコンオーディオに切り替わってしまうのではないでしょうか。しかし、4の「趣味」については、テープメディアを使用するものでしか味わえない楽しみですので、デッキが入手あるいは修理可能な状況であれば、まだまだこれからも活躍するのではないかと思います。
また、何よりテープメディアは保管に強いというメリットも有しておりますので、仮にテープからデータをPCに取り込んだとしても、大切な音源については、データが一瞬にして消失してしまうなど万一の事故に備え、テープのまま保管されることをお勧めします。