今日はパイオニアのD-07です。10年ぶりに電源を入れたが動作しないとのことです。このデッキは、20kHzを超える高域成分の録音・再生のため、サンプリング周波数を従来の48kHzから2倍の96kHzに高めたハイサンプリング対応のワイドモードを搭載し、これにより録音・再生周波数も従来の2倍の44kHzと驚異的なスペックを有しています。
オーナー様は、当店で販売しているSONYのDATにもご興味をお持ちでしたが、D-07のワイドモードで録音したテープをお持ちとのことでしたので、まずは修理前提で機器の点検(当店では無料で行っています)を行うこととしました。
機器が到着し、電源をONにすると「カチカチカチ・・・」とメカの動作する音が数秒間続き、その後停止しました。
トレイをOPENすると、テープが入っていました。
テープが切れていました。それで異音がしていたようです。
カバーを開けて動作確認です。このデッキはワイドモードではテープ速度もヘッドの回転も2倍になります。
テープ走行は正常ですが音が出ません。ヘッドの状態も問題は無いようです。しかし、以前修理したD-07と同様、ヘッドからの信号がRFアンプから出ていません。
メカを取り出してRFアンプを点検します。
RFアンプはヘッドの後部に取り付けられています。ここには基板実装型の電解コンデンサーが2ケありますが、目視では液漏れは見られません。
同サイズのものと交換します。
これで音が出るようになりました。液漏れしていないコンデンサーが故障の原因とは不思議ですね。
トレイベルト、リール用ベルトの状態を点検し、
誤作動が発生しないようにロータリーエンコーダーのメンテナンスを行います。
接点を清掃し、専用のグリスを塗布します。
メカを戻すときには、こうやって傾けてやらないと、トレイ蓋が開かなくなります。
オシロを接続しRFシグナルを点検します。問題ありません。ヘッドフォンVOLのガリを修正し、修理完了です。
暫くの間、動作点検します。
このデッキは私も所有していますが、よくできたデッキだと思います。なんといっても44KHzですからね!