今日は先日の9100EXと同じオーナー様の愛機、TC-K333ESGの修理を行います。
トレイ開閉ができません。SONYのデッキは、アシストモーターのベルトに不具合が発生しますので、それが原因と思われます。
上位機種の555ESGとの大きな違いは、電源の電解コンデンサーの容量と銅メッキシャシの有無です。音質に違いは無いと思います。
メカを取り出してトレイユニットとバックプレートを外します。
SONY製にしては珍しくヘッドが綺麗な状態が維持されています。普通は錆が発生して黄色くなっています。
左右ピンチローラーを外してキャプスタンユニットを分離します。この基板の電解コンデンサーは劣化しやすく、それによりモーターに不具合が生じます。
この機体に限っては状態は良好のようです。
予防保全の観点から新品に交換します。
ここのベルトは状態が良好ですので、クリーニングして再利用します。フライホイールの状態も良好です。
キャプスタン軸に微量のグリスを塗布し組み立てます。
アシストモーターを切り離すためにアイドラーを取り外します。
固定しているビス5本を外すとブロックごと分離できます。
肝心のベルトは溶けて切れています。
新品のベルトをこのように仮掛けし、組み立てた後にモータープーリーに掛けてやります。
次は接点の清掃を行います。
ロータリーエンコーダーです。
アルコールで清掃後にコンタクトグリースを塗布します。
続いてテープセレクターです。カバーを慎重に取り外し接点を清掃します。
ピンチローラーの清掃を行います。当店で販売している専用クリーナーS-721Hを使用しました。
元通りに組み立てていきます。
テープ走行の確認とテープパス調整をこの状態で行います。
本体に組み付け、音出しのチェックです。録音再生OKです。
続いてオーディオ回路の不良コンデンサーの交換を行います。「再生」「録音」「ヘッドホン」それぞれの基板に計22個の不良コンデンサーがありますので、新品の同等品(ニチコン製)に交換します。
再生基板です。紫色の電解コンデンサーが要交換品です。100μFが2ケ、22μFが4ケ、1μFが4ケです。
特にひどいのが100μFです。液漏れして端子が腐食しています。
交換後です。続いてヘッドホン基板に移りますが、
フロントパネルを外す必要があります。
紫色のものが2ケあります。
100μFを2ケ交換しました。
録音基板です。22μFが6ケ、1μFが4ケです。
以上で交換終了です。
テープ速度の点検、ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアスキャリブレーションの動作確認を行います。録再バランスの調整も行い、
修理完了です。SONYのデッキは原音に忠実な大人の音ですね。