このところD-07ネタが多くなっていますが、今日は、少し前にD-07Aの修理依頼をいただいた方から買取りしたジャンクD-07の修理に取り組みました。
最初はRFユニットの基板実装型電解コンデンサー100μFの劣化が原因だろうと高を括っていましたが、カバーを開けると、メイン基板からRFユニットに接続するコネクタが外されていました。
どなたかが修理を試みた形跡だろうと思い、このコネクタを接続し電源をONにすると、さっきは点灯していたはずのディスプレイが、なぜか点灯しません。
RFユニットに何か問題が起きているようです。
100μFのコンデンサーはすでに交換されていました。リードタイプのものですが、これは特に問題はありません。交換時にどこかショートしたのか点検しましたがそれはありませんでした。
ショートしている箇所を探すため、GNDとコネクタ端子間の抵抗値を、正常に作動するRFユニットと比較することにしました。すると、12V-GND間が、正常値約800Ωに対して20Ω程度しかありません。この12Vラインにショートがあるようです。といっても小さな基板ですし、不具合個所を見つけるのは極めて困難な作業で、諦めムードが漂っていました。
それでも諦めずに、とりあえず12Vラインの行き先を確認しようと再度回路図を見たときに、「あっ」と驚きました。そこに修理のヒントが記されていたからです。
「C332、337、348、351はタンタルコンデンサ」と記載されています。タンタルコンデンサーというのは、容量が安定しているという特性から、特定の箇所に使用されることがあるのですが、どちらかというと、D-07頃の時代では、あまり使用されなくなっていましたので、まさかこんなところに使われているとは思いませんでした。
前置きが長くなりましたが、タンタルコンデンサーの大きな欠点は、故障したときに「ショートモード」となることです。通常、抵抗をはじめとする電子部品の故障は、端子間が絶縁状態になるのですが、タンタルコンデンサーはショートした状態になってしまいます。
もう10年ほど前になりますが、愛機TC-R6が音が出なくなったときに故障していたのがこのタンタルコンデンサーでした。そのときは発見するのに相当手間がかかった苦い記憶があります。
それぞれ写真中央(左写真:黒色、右写真:オレンジ色)に写っているのがタンタルコンデンサーです。容量は一緒ですが、形状と色は異なっています。このコンデンサーは並列に接続されていて、抵抗値を測定すると約20Ωと一定の値を示しました。やはりここの故障です。
この2つ(実際はオレンジ色のもののみ故障していました)を普通のリードタイプのものに交換し、GNDと12V端子間の抵抗値を測定すると、正常値の約800Ωを示しました。
さあ試運転です。ところが、ディスプレイは点灯するようになりましたが、音が出ません。メーターも振れません。修理は失敗したのでしょうか?RFユニットの不具合以外でこの状態は、「ヘッドの汚れ」か「電源」です。
電源の不具合といえば、トランジスタのような形をしたヒューズ断裂の可能性が大です。テスターを当てると無限大の値を示しましたので、交換を行いました。
このパーツは、パイオニアのほか、ソニー製品にも使用されている過電流保護素子ICP-N20 です。これがRFユニットのショートから電源を保護したようです。
今度はどうでしょう?修理成功です。先月からD-07(A)を5台ほど修理しましたが全勝です。