これまでDTC-2000ESやD-07Aの修理依頼をいただきお馴染みとなったお客様から、今度はDTC-ZA5ESの不調の件でご連絡をいただきました。
「アナログ入力で録音した場合、左右の音量バランスが悪い」とのことです。L側がR側の半分程度ということです。故障であるとすると珍しい症状です。古いAKAIのデッキあたりでは、VOLの劣化で似たようなことが起きますが、ZA5ESでそんなことは見たことがありません。
普段はアナログ入力がメインのようでしたが、「まずは、デジタル入力でお試しください。また、VOLの操作ミスはありませんか?」とメールしました。
しばらくして返事をいただきましたが、「デジタル入力では問題は発生しない。操作ミスは無い。」とのことでした。
デジタルでは正常ということは、その前段のアナログ回路に不具合が起きています。当店では、診断は無料(往復の送料はご負担いただきます)で行っていますので、機器を送っていただくことになりました。
2日ほどして機器が到着しました。
アナログ入力です。確かにL側の音量がR側の半分程度です。しかし、音にひずみ等は無く、単純に音量の問題です。
デジタル入力も試してみました。問題はありませんね。それでは基板の点検を行います。
これはフロントパネルすぐ裏のRECVOLあたりの配線です。ここを触れると、正常に戻りました。この周辺に接触不良が起きています。
VOL基板を外すためにツマミを取り外し、固定しているナットを緩めます。
目視では半田クラックは確認できませんのでしたので、ひととおり再半田を行います。
続いてアナログ基板です。本体から取り外して、
コネクタ取り付け部を再半田します。
不具合は起きなくなりました。
接触不良が原因の故障は、明かな半田クラックなど不良個所が特定できた場合以外は、修理完了の判断が難しい(たまたま一時的に接触が改善されたということも考えられるため)ので、もう少し様子を見てオーナー様にお返しします。