今日は朝からジャンクCT-970の修理を行いました。
定番の溶けたキャプスタンベルトの交換、アイドラーゴムやそれ以外のベルトの交換などメカのメンテナンスを終えて、動作確認をしたときのことです。
テープ走行はOKで音は出力されるのですが、レベルメーターが点灯しません。メーターの故障でしょうか、それとも基板でしょうか?一般的にこのようなタイプのメーターの故障というのは考えにくいので、おそらく基板の故障です。
基板はこんな感じですし、そもそも回路図がありません。ここで一巻の終わりでしょうか。
ところが、基板をよくよく見てみると、「METER DRIVE」と書いてあります。
緑のラインで囲まれているエリアがメーターのコントロールを行っているようです。トランジスタ数個とIC、そして抵抗で構成されています。まず怪しいのは、電源です。ところが、基板面に「5V」と書かれた箇所には規定の電圧が印加されています。ということは、次に怪しいのはトランジスタです。ひとつひとつ外してトランジスタチェッカーで点検しましたが問題なしです。
この時点でほぼICの故障確定です。
「MSL9350RS」という型番の、比較的一般的なICのようで、現在でもネットで入手できるようですが、ここでひとつ思い出しました。
少し前にパーツの摩耗で修理不可となったCT-980が倉庫に眠っています。CT-970と同じ時期のデッキですから、同じパーツが使われている可能性が高いと思い、早速作業場に持ち込みました。
予想は的中しました。基板の構成はまったく異なりますが、レベルメーターの制御回路、使用パーツはまったく同じです。
早速このICをCT-970に移植しました。
動作しました。この瞬間は最高ですね。ところが、点検を進めているうちに別の不具合が見つかりました。再生時のテープ走行は問題は無いのですが、早送りのスピードが超低速です。モーターは勢いよく回転するのですが、どうやら負荷が掛かると回転が弱まるようです。
似たような症状は以前別のCT-970で学習済みです。
メカ上部に取り付けられている基板です、写真は交換後ですが、中央のICがリールモーターをコントロールしています。
取り外したICです。CT-970は、製造ロットにより使用されているICの型番が異なるようです。前回修理した機体と同じ「RC4558」というICがパーツボックスにありましたので、これに交換したところリールモーターの回転力(トルク)が回復しました。
なんとか正常に動作するところまでたどり着きました。この後ヘッドアジマスや録再調整などを行い修理は完了です。