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オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

TC-FX606R

SONY TC-FX606R

投稿日:2018年12月24日 更新日:

今回は非常に珍しいカセットデッキの修理依頼をいただきました。

この写真を見て機種名が分る方は、相当のオーディオ通ではないでしょうか。SONYが今から35年前の1983年に発売した「TC-FX606R」です。

このデッキの特徴は、カセットトレイが水平にスライドして出てくる「リニアスケーティング方式」を採用していることです。また、非常にコンパクトなボディでありながらオートリバース機構、さらにはリバース時に無音部分をスキップする機能も備えています。

今回修理を行う機体は、オーナー様が入手した時点で既に動作不良があり、自力でベルト交換を行ったものの動作不可で断念されたということです。

機器が到着した時点では、トレイ開閉は不可で手動でなければ引き出すことができないといった状態で、テープ走行も不可、

さらには、電源をONにすると、レベルメーターが勝手にMAX-MINを繰り返すといった不具合も抱えていました。

早速カバーを開けて点検します。初めて扱う機種でしたのでどんな構造になっているのか興味深々です。

初めに目に飛び込んできたのはここです。右側の1.25Aのヒューズが切れています。ヒューズが切れる原因は、「モーターに過度の負荷が加わった場合」「パーツの故障」「作業中のミス(ショート)」などが考えられ、場合によっては、交換してもすぐに切れてしまうことがあります。今回はどうでしょうか?

とりあえず交換します。緊張の一瞬です。電源ON・・・メーターが勝手に動作する不具合は解消されました。

続いてメカの修理に移ります。修理を行うためには、本体からメカを丸ごと取り出さないといけませんが、右写真の中央に写っているゴムがストッパーになっているようです。

ストッパーとコネクタを外し、手前に引き出すとメカを取り出すことができます。

メカ横には水平スライドを行うためのプーリーとギヤがあります。ベルトの状態は良好です。

フロント部を点検しましたが、ここには不具合は無いようです。

メカをひっくり返して、フライホイールを支えるカバーを取り外しました。オートリバースですので、ふたつのキャプスタンが逆方向に回転するようにベルトが掛けられています。

フライホイールを外すと、ベルト掛けされた白いプーリーが現れます。このデッキでは、フライホイールの回転を利用して再生時にリールを回転させる仕組みになっていますが、このベルトがスリップしていてリールを回転させることができていませんでした。もちろん新品に交換です。

フライホイールを元に戻して走行テストを行うと、テープが走行するようになりましたが、なぜか数秒で停止してしまいます。

機種名は忘れましたが、以前も似たようなケースを経験したことがあります。左写真の中央に写っているのはムギ球ですが、球切れして点灯していません。このデッキは、ムギ球の光を利用して、カセットの窓の照明と、左右リール回転検知を行っているようです。右写真はカセットのバックパネルの裏側ですが、プリズムを利用して光を窓と左右リール部の受光部に伝達しています。

同じパーツは入手不可ですので、LEDで代用することにしました。

今度は大丈夫です。ところが、テープ速度が明らかに遅いようです。

このキャプスタンモーターの背面にドライバーを差し込んで速度を調整するのですが、MAXにしてもはっきりわかるくらい速度が遅い状態です。何が原因でしょうか?

原因が判明するまでかなり苦労しましたが、このキャプスタンモーターに掛けられているもう一つのベルトが標準よりも小さいサイズのものに交換されていて、モーターに過度な負荷を与えていたようです。ちなみにこのベルトは早送り・巻き戻し時にリールを回転させるためのものです。

ワウフラッターのために数値は微妙に変動しますが、基準音に限りなく近いところまで調整します。ところが時間の経過により速度が1~2%程度変化してしまいます。モーター内部の接点に接触不良が起きていると思われますので、後ほど長時間かけて様子を観察することにします。

正常に動作するまでに至りましたので、メンテナンスに移ります。写真ではわかりにくいかもしれませんが、ピンチローラーは相当汚れが見られ、かつ表面が劣化していましたので軽く研磨し専用クリーナーを施します。

メカを本体に戻します。スライド関連の回転部分等にグリスを塗布したところスライド機能も正常に動作するようになりました。

調整を続けます。ミラーカセットを用いてテープパスの点検調整を行います。

オートリバース機ですので、ヘッドアジマスはフォワード・リバースの両方で調整します。

録再バランスの調整も行い修理完了です。右写真のようにトレイを引き出したままでの使用もできます。

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