一年以上前に当店でDATデッキの修理を行ったお客様からメールをいただきました。
特定のテープを使用すると、テープがセットされた後にローディング動作に移行しないという不具合が発生したということです。同じ不具合は長期間不使用のデッキでよく見かけます。
DATデッキでは、カセットがセットされたときにちょうど右下の角の部分にテープ検出スィッチが設けられています。
写真はトレイ蓋が開いた状態で中を覗いたところです。中央に見える縦5mm、横10mm程度の白いプラスチック製のパーツがそれにあたります。
そこから3本(機種によっては2本)の突起が出ているのが分るかと思いますが、これがテープの挿入、誤消去防止などを検知します。つまりこのスィッチの接触不良がテープローディングしない主な原因です。
それではなぜ特定のテープにのみ症状が現れるのかというと、テープそれぞれの寸法誤差、カセットの変形などが原因として考えられます。
新品パーツがあれば交換して済む問題ですが、それは極めて困難です。それでは分解して接点の清掃ができるかというと、
ジャンク機のスィッチを分解してみました。非常に細かいパーツで構成されています。
接点はこの奥にありますが清掃できる状態ではありませんし、そもそも元どおりに組み立てることが困難です。
それではどうするかというと、
先ほどと同じ写真ですが、このアングルで、割りばしのようなもので黒い突起の部分を数十回突っついてみてください(DTC-1000ESなどスライド式トレイ搭載機はカバーを開けなければ作業できません)。
これでほとんどのものは改善されますので、同じ症状にお悩みの方は一度お試しください。ただし、その後は再発防止のために定期的にご使用くださいね。