DATデッキをお客様のところに納品した後に発生するトラブルで最も多いのは、長期保管された「古いテープ」の使用によるものです。ここではこれまで私が経験した事例を紹介します。
1 テープに付着した汚れ
長期間保管されたテープには静電気で埃が付着していたりカビが生えていることがあります。また、テープ自体が劣化していることもあります。その場合は一瞬にしてヘッドが汚れ、無音状態となります。クリーニングテープでは汚れが落ちないこともありますのでデッキの故障と勘違いするケースがあります。新規に機器を導入したときは、まずはいつもお聴きになっているテープからお試しください。
また、湿気で発生したカビなどによりテープ同士が貼り付くことがあり、それが剥がれるときにテープが簡単に切れてしまいます。
2 カセット自体の変形
DATは、カセットハウジング内のスイッチでテープ挿入を検知します。「テープを挿入してもローディングしない」場合は、このスイッチの接触不良が疑われますが、「特定のテープ」のみでローディング不良が起きる場合は、カセット自体の変形の可能性もあります。0.1mmにも満たない僅かな変形によりスイッチの作動に影響を及ぼします。
3 テープの巻きの固さ
テープの使用状況や保管状況によって、「テープの巻き」が固くなることがあります。こういったテープを使用した場合、テープ走行が停止することもあります。一度テープの先頭から最後まで早送り・巻き戻しを行っても改善されないときはテープの寿命とお考えください。ただし、カセットハーフの変形が原因の場合は、ハーフを交換することにより改善される可能性があります。
4 テープの傷など
「稀にノイズが発生する」という場合は、一旦巻き戻しをして同じところで再度ノイズが出るかご確認ください。同じところでノイズが発生する場合は、テープに傷か汚れが付着しているか録音データが損傷していると思われます。なお、機器が原因でノイズが発生する場合は、不定期・不特定箇所で発生します。
いずれにしましても、「特定のテープ」にのみ発生する場合は、テープが原因と考えて間違いありません。