2年以上前に当店で修理を行ったDTC-2000ESですが、不具合が起きたとのご連絡をいただきました。
早速点検を行います。
テープをローディングした後、最後の「カチッ」という音が出ずにCAUTION表示となります。ヘッドかキャプスタンモーターの不具合でしょうか?
カバーを開けてメカを観察します。テープは正規の位置までローディングしますが、ピンチローラーが上がらずに停止してしまいます。ヘッドとキャプスタンは動作していますので、ほかに不具合が起きているということです。
メカを取り出しました。1時間以上あれこれと点検を行い、遂に見つけました。
ピンチローラーをキャプスタンに押し付けるソレノイドの先端に取り付ける白い樹脂製のパーツが破損しています。非常に珍しい故障です。右写真は正常な状態です。
左が破損品です。幸いにも以前廃棄したジャンク機からパーツをストックしてありましたのでそれと交換します。これが無ければ修理は極めて困難となったでしょう。かなり力の加わる部分ですので疲労破壊でしょうか?
ソレノイドの先端に破損した白い破片が付いています。
スペアパーツを組み込んで、
動作テストはOKです。・・・しかし音飛びが発生します。リールの回転が不規則になっていますのでピンチローラーの不良と思われます。
かなり固くなっていますので研磨では対応できません。交換します。
以上修理に加え、メカのメンテナンスを行います。底部の基板を取り外し、構成ユニットにアクセスします。
モーターやギヤなどを取り外します。
古いグリスを除去し再グリスします。
モードベルトを交換、
組み付けてリングギヤの動作状況を点検します。
2DDリールメカです。
左右リールのブレーキパッドを張り替えます。
元通り組み立てます。
トレイベルトも交換します。
本体に組み付ける前にテープ走行、録音再生状況の点検を行います。OKです。
完成しました。