PIONEERのDATデッキ、D-07です。
トレイの蓋が開きっぱなしになったためテープで止められています。同じPIONEERでも下位機種のD-05では構造が異なるため同様の不具合は起きませんが、この機種とD-07Aでは蓋を手で開けたりすると簡単にこの状態になります。
オーナー様所有のテープがセットされていましたが、イジェクトボタンを押してもトレイが出てきません。何かが引っ掛かっているか、ベルトがスリップしていると思われます。
まずは指でプーリーを回してテープを取り出します。
固定しているビスとコネクタを外してメカを取り出します。
本体側の黒いギヤと蓋のギヤが完全に離れています。破損はありませんので、一度本体側のギヤを固定しているビスを緩めて、ギヤを組み合わせます。ギヤがひとコマずれてもうまく動作しないので注意が必要です。
修理に併せてメカのメンテナンスも行います。
硬化が進行しているトレイベルトは、高耐久・高摩擦のバンコードで製作し交換します。
リールベルトも交換します。ベルトの太さの関係から、こういうところにはバンコードは不向きです。
接触不良によりメカの誤作動を引き起こすロータリーエンコーダーです。
接点を清掃しスライド接点専用のグリスを塗布します。
ヘッドからの信号を処理するRFアンプです。音が出なくなるのはここのコンデンサーの劣化が原因であることがほとんどです。
基板実装型に問題があるというわけではありませんが、確実性を優先しリードタイプに変更します。
トレイ開閉、テープ走行OKです。
ヘッドの信号を点検します。問題ありません。
各モードでの録再状態を確認します。ヘッドホンVOL、バランスVOLに酷いガリがありましたので接点復活剤を施します。
以上修理完了です。