Audiolife - Enjoy your audio life!!

オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

ワンポイントメモ

ゴムベルトの話

投稿日:2019年9月27日 更新日:

カセットデッキの最大の弱点は「ゴムベルト」です。私の知る限りゴムベルトを使用していないデッキはほとんどありません。

皆さんご存じのとおりゴムは劣化して性質が変化します。そしてこの変化もゴムの種類によって異なり、大きく2つに分けられます。

ひとつは合成ゴムなどに見られる「硬化」です。この硬化によりスリップや破断が起こり、メカが正常に動作しなくなります。

そしてもうひとつはウレタンゴム系に見られる「加水分解」です。一般的にゴムは水を弾く性質がありますが、長年かけて空気中の水分を吸収し性状が変化します。先ほどの硬化とは真逆の変化になりますが、次第に柔らかくなり、最終的には液状になります。

では、なぜカセットデッキで「硬化」するゴムと「加水分解」するゴムの両方が使用されているかというと、それはゴムパーツに求められる機能によります。

例を挙げますと、SONYのESシリーズのカセットデッキでは、ゴムパーツとして「モードベルト」「キャプスタンベルト」「ピンチローラー」が使用されています。

そのうち、モードベルトは力が加わる場所に使用されますので強度が求められます。これに該当するゴムが「ウレタンゴム」です。しかし、その反面、このウレタンゴムは最も加水分解しやすいゴムとなります。

残りの「キャプスタンベルト」「ピンチローラー」については、強度は必要ありませんが弾力性と耐久性が求められますので、おそらくCRゴムなどの合成ゴムが使用されているものと思われます。

メーカーも機器が使用される期間は、性状の大きな変化の無い5年から10年程度を想定していたでしょうから、上記の選択は正解かと思います。

ただし、納得が行かない点がいくつかあります。例えば、SONYのカセットデッキのキャプスタンベルトでは、比較的新しい型式にウレタンゴムが使用されていることがあります。これはどう考えても説明が付きません。

また、SONYやAKAI(A&D)以外のメーカーでは、使用される場所に関係なくウレタンゴムを使用していることが多く見られます。これはあまりにも配慮が不足しているのではないかと思います。

とはいえ、メーカーもまさか自社製品が30年以上使用されるなんて思っていなかったでしょうから仕方ありませんね。

-ワンポイントメモ
-,

執筆者:

関連記事

キャプスタンベルト

一部機種を除き、カセットデッキにはキャプスタンを回転させるために、ベルトが使用されています。 キャプスタンの回転の正確性は、ワウフラッターに大きな影響を及ぼします。そのため、キャプスタンベルトには、回 …

SONY製ESデッキのヘッド不良

近年、SONYのTC-K(ES)シリーズのヘッド不良が数多く見受けられるようになりました。 具体的な状況ですが、メカの整備を終えて、バイアスキャリブレーションを行うと、写真のように、バイアスの掛かりが …

コネクター

家電製品には基板とメカなどのアッセンブリー同士の接続箇所にコネクターが多く使われています。 1970年代頃までは半田付けがメインだったようですが、組み立てや修理時の作業性を考慮した場合、圧倒的にコネク …

SONY TC-K〇〇〇ESLの誤作動

SONYのカセットデッキのうち、ESLシリーズの故障で「操作不能」というのがあります。 ひとつはアシストモーターのゴムベルトの劣化による操作不良で、これは、ESLに限らず同じメカを採用している前後モデ …

CRC使用による動作不良

潤滑剤の代表選手であるCRC556は、浸透性が高く使い勝手が良いので、いろいろなところに手軽に使用されるという方は多いかと思います。「シュッと一吹き」でたちまち動きが軽やかになります。 しかし、このブ …

検索

2019年9月
« 8月   10月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

住所
066-0038
北海道千歳市信濃3丁目11-1-1
Audiolife 代表:小西隆幸
050-3717-0768(留守電専用です。トラブル防止のため、当店へのご連絡は記録が残るEメールをご利用ください)
E-mail:audiolife2017@gmail.com

営業時間
月〜金: 9:00 AM – 5:00 PM
土: 9:00 AM – 12:00 PM