今日は、PIONEERのオートリバースダブルカセットデッキ、T-W05SRの続きです。前回の記事は以下ご覧ください。
テープ速度とアジマス調整ということで機器をお送りいただきましたが、前段のヘッドとピンチローラークリーニングの際に、デッキBに故障があることが分かりました。オーナー様にご連絡したところ、輸送中または動作確認の際に故障したらしいとのことでした。
手配したドナー機が到着しましたので、メカを取り出します。
念のため仕様変更が無いか確認します。
ヘッドを真下から見たところです。左:正常な状態。右:ギヤ破損状態です。
ドナー機から取り出したメカのヘッドとピンチローラーをクリーニングし、修理機に移植して動作確認を行います。これでようやくスタートラインに立つことができた、と思ったら、
移植したメカは早送りができません。故障のようです。仕方なくドナー機のデッキAを試しましたが、こちらも同じく早送りができません。このメカは初めて取り扱いますので、修理を行うとなると時間を要しますし、修理不可の破損等が原因かもしれません。
結局、元々付いていたメカにドナー機のヘッドを移植することにしました。
デッキAの「TIME/COUNT」「RESET」、デッキBの「PAUSE」ボタンを同時に押してテストモードに移行します。ディスプレイの表示が変わりました。
まずは、デッキAの倍速の速度を測定します。315Hzの信号が記録されたテープをセットし、「PLAY」を押した後に「FFWD(早送り)」を押すと倍速モードでテープ走行します。
約622Hzです。この速度の変更はできませんので、デッキBをデッキAと同じ速度(622Hz)になるように調整します。
先ほどと同様、「PLAY」「FFWD」を押します。
645Hzです。少し速めです。
基板上のトリマを回してデッキAの速度と0.2%程度の誤差の範囲内に収まるように調整します。数値は常に僅かに上下しますので、振れ幅の中心の値にを基準にします。
続いてノーマルスピードです。デッキAの速度を測定します。1%の狂いが見られます。
315Hzを中心に針が振れるように調整します。
続いてデッキBです。
先ほどと同様に調整します。
続いてアジマス調整を行います。テストテープをセットし再生します。オートリバース機はFWD・REVの往復合わせなければなりません。まずはFWDです。
ヘッドを調整し、右肩上がり一直線になるように合わせます。かなり高域がアップしました。
デッキAのリバースです。狂いは僅かです。
デッキBです。先ほどと同様、FWDと、
REVも調整します。
最後に聴感で音質を確認し、完了です。