SONYの４ヘッドDATデッキ、DTC-77ESです。
普段はあまりお使いにならないということですが、定期的な点検で不具合が発覚し今回の修理に至りました。
イジェクトボタンを押してもトレイが開きません。
カバーを開けました。修理歴は無いということで、純正のスポンジ製ヘッドクリーナーもそのままです。
メカを降ろしました。
向かって左側にトレイを開閉するメカがありますが、白い大きなプーリーが固くて回りません。
プーリーを脱着し、シャフト部の固まったグリスを除去し、シリコングリスを塗布します。これでメカの動きは軽やかになりました。
続いてメカの点検整備を行います。カセットホルダーを取り外します。
純正のヘッドクリーナーは経年により性状が変質して、ヘッドを痛めますので撤去します。
スポンジがボロボロです。幸いにもヘッドには影響が見られませんでした。
ピンチローラーは弾力がありますので問題はありません。
この白いスイッチは、テープの挿入や誤消去防止等の検知用ですが、接触不良が起きやすいので、隙間から接点復活剤を微量注入します。
メカを裏返し、基板を取り外します。
メカを分解します。
テープガイドを駆動するリングギヤです。製造時に塗られたグリスが固まって可動部が固着しています。
CRCで固まったグリスを除去し、機械油、シリコングリスを処置します。
ギヤ類のシャフトには異音防止を兼ねてすべてグリスアップします。
硬化変形したベルトを交換します。
２DDリールメカです。左右ともリールが回りません。
ブレーキパッドが張り付いています。
ブレーキを分解し、パッドを張り替えます。
メカを元通りに組み立てます。
本体に仮接続して動作状況を確認します。
RFアンプを取り外します。４ヘッド機は２ケセットとなっています。
基板上の実装型コンデンサーに液漏れが見られますので交換します。
もうひとつも同様です。
動作テストを行います。
ここで新たな故障が見つかりました。カウンターのモード切り替えができません。リモコンでは切替できましたので、スイッチが故障しています。しかし、これは想定内の故障です。その理由は以下に記載します。
フロントパネルを切り離します。
まずはリモコン受光基板です。
銀色の四角のパーツは赤外線受光ユニットです。その横の電解コンデンサーに液漏れが見られます。
交換を行います。
続いてディスプレイ基板です。
ここにも液漏れが発生していますので順番に交換を進めます。１か所目です。
２か所目です。
３か所、
最後４か所目です。
故障しているスイッチは、先ほど交換した電解コンデンサーのすぐ横にあります。液漏れした電解液がスイッチの接点を侵したのが原因です。もちろん新品交換します。
正常に切り替えることができるようになりました。
入出力別、モード別の録音再生状況を確認し、完成です。
