少し前に当店でTC-KA7ESを修理されたお客様から、今回はTC-K555ESJのご依頼をいただきました。
当初、システムに接続すると「ブーン」という音が鳴る、ということでご連絡をいただきました。アンプとの接続状況をご確認いただくようお話をしましたが、改善が見られず、「機器に異状が無ければ、リフレッシュメニュー（総合メンテナンス）の実施を希望」ということで機器をお送りいただきました。
動作確認しましたが、特に問題は見られません。リフレッシュメニューを行います。
カバーを開けます。電源の巨大なコンデンサーが目を引きます。
メカを取り出して分解を進めます。
ピンチローラーアーム、アイドラーを取り外します。
メカ本体からキャプスタンモーターを切り離します。
モーターを分解します。基板上の電解コンデンサーはわずかに端子が曇っています。
予防措置として交換します。
キャプスタンのシャフトにグリスを処置し新しいベルトを掛けて組み立てます。
メカのフロント部を分解します。
以前修理された方がOリングを使用していました。角ベルトが入手できなかったんでしょうね。
SONYのデッキはESG以降は揮発性の低いシリコングリスが用いられていて、乾燥による硬化が無く、ほとんどメンテナンスフリーです。しかし、この機体は、わざわざそれを除去し、通常のグリスが塗布されていました。もちろん拭き取ってシリコングリスを処置します。
ベルトの掛かるプーリーをアルコールで脱脂します。
新しいベルトを仮掛けします。
ロータリーエンコーダーを取り外します。
分解します。接点がかなり汚れています。
接点を研磨清掃し、スライド接点専用グリスを塗布します。組み立て時はマイクロネジでカバーを固定します。
テープポジション検出スイッチの接点を清掃します。
元通り組み立てていきます。
ピンチローラーは弾力がありますので、専用クリーナーで処理します。
メカを本体に組み付けて動作テストを行います。
点検調整に移ります。ミラーカセットを用いてテープの走行状態を目視で点検します。
315Hzのテープを再生して速度の点検を行います。許容範囲内です。
ヘッドアジマスの調整を行います。
バイアス調整を行った後、左右同レベルの信号を入力し、それを録音再生モニターしてバランス調整を行います。
数種類のテープを用いて録音再生状況を確認し、完成です。
