先月に引き続き、PC-X66ADの修理依頼をいただきました。
2年ほど前に他店で修理したものの、最近テープ走行ができなくなったということです。修理後にその業者から、「モーターが弱っているのであまり長いテープは使わないように」と言われたということですが、そういったことは経験上ありえませんので、不完全な修理であった可能性があります。
再生や早送り等のボタンを押すと、アイドラーがスリップしている音がします。おそらく元々スリップ気味であったため、負荷の大きな長尺テープの使用に問題があり、先ほどのような発言があったものと思われます。
写真中央の黒いパーツはリールです。ここにアイドラーゴムが接して回転するのですが、表面にヤスリ掛けをしたような形跡があります。おそらくスリップを回避しようとしたものと思われますが、これでは逆効果です。
カバーを開けて、メカの取り出しに支障となる基板を取り外します。
メカを取り出しました。
異状がないか目視点検します。
分解に移ります。ソレノイドユニット、
キャプスタンモーター基板、フライホイールと分解していきます。
これでようやくリールユニットを取り外すことができます。
アイドラー用のゴムリングには、少し大きめのものを切断し切り詰めたものが使用されていました。以前修理された方は相当苦労されたようです。
ゴムリングを交換します。しかし、リールの外周にヤスリ掛けがされていて状態が悪いため、スリップ防止のため、当店のひと工夫(企業秘密です)を加えます。その後、モーターに直接電圧を加え、動作テストを行います。
キャプスタンシャフトにグリスを処置し、接点を清掃して元通り組み立てます。
劣化したピンチローラーを交換します。
メカを本体に戻して動作テストを行います。快調です。もちろん長尺テープでも問題ありません。
左CHのメーターが不動です。点検の結果、回路の故障ではなくメーター自体の問題であることがわかりました。修理するためにはジャンク機からの移植しかありません。オーナー様にその旨ご連絡したところ、メーター交換にGOサインが出ましたので、ジャンク機の手配を行います。(つづく)