PIONEERの高級カセットデッキ、CT-A9Dの修理依頼をいただきました。
当店に到着したのは3週間前でしたが、パーツの手配に時間を要したため、今日まで修理を保留していました。
走行不良ということでしたが、かろうじて再生はできました。しかし非常に頼りない感じです。
メーター表示ですが、バランスが悪いのではなく、LCH側の中央部が点灯しません。FL管の故障であれば治りません。
カバーを開けて、フロントの化粧パネルを取り外し、
メカを取り出します。
まずはモードベルトを交換します。
走行不良の原因は、ベルトの伸び(加水分解)と、アイドラーゴムの劣化です。
キャプスタンベルトを交換しました。
ここで一旦組み付けが問題無いか動作確認を行います。
続いてアイドラーゴムの交換を行います。
交換に支障になるパーツを分解し、
アイドラーゴムを交換します。
本体にメカを組み込む前に動作テストを行います。
続いて表示パネルの修理を行います。このディスプレイは、左右チャンネルを低・中・高(レベル)の3つに分割し、それぞれをICでコントロールしていますので、そのICの故障が疑われます。そこで、賭けにはなりますが、事前に海外から必要なパーツを取り寄せました。これまでの経験上、PIONEERの製品はICの故障が多いような印象があります。
交換が面倒な位置にあります。HA12010という型番のICです。
無事回復しました。
速度の点検を行います。ギリギリ許容範囲内です。
ヘッドアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。バイアスとレベル調整はオートですので、中古テープではテープの位置によって状況が変化することがあります。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、完成です。