近郊の札幌にお住まいの方からのご依頼です。
ナカミチのCR-30ですが、オークションで入手したものの、音が悪いということです。
まずは、テストテープを再生し、周波数特性を測定します。縦に緑色の直線が4本並んでいますが、左から315Hz、1000Hz、10000Hz、12500Hzです。高域の10000Hz以上の出力が低下しているのがわかります。
再生ヘッドのアジマス調整を行います。
調整前とは明らかな違いがあります。低域から高域までフラットな出力になり、クリアな音質になりました。
315Hzの信号が記録されたテープを再生しテープ速度を測定します。これはメカを整備した後に調整します。
続いて録音の周波数特性を測定します(右端は16000Hzです)。これも高域が低下していますが、バイアス調整では補えないレベルです。
録音ヘッドのアジマス調整を行います。
特性がフラットになりました。
続いてメカのメンテナンスに移ります。あらかじめ底板を取り外しておくと、メカの脱着が容易になります。
カセットホルダーと化粧プレートを取り外します。
バックテンションベルトを交換します。
ヘッドとピンチローラーをS-721Hで清掃します。
テープ検出スイッチの接点を磨きます。
キャプスタンベルトの状態は良好です。
メカ背面のカムユニットを取り外します。このメカのウイークポイントのひとつです。
カムでONOFFするスイッチの接点を磨きます。
カムモーターを無負荷状態にし、内部接点の接触改善を図るため、直接電圧を加えて数時間ほど空転させます。
アイドラーギヤを取り外します。
このリールモーターも接触不良が起きやすいため、先ほどと同様、長時間空転させます。
誤消去防止孔検出スイッチの接点を磨きます。
メカを元通り組み立てて本体に戻します。走行状態は良好です。
テープ速度の調整を行います。0.2Hzほど振れ幅がありますので、315Hzを中心に針が振れるように合わせます。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる数種類のテープで録音再生状況を確認し、完了です。