アナログテープデッキで十分な性能を発揮するためには、録音時のバイアス調整のほか、ヘッドアジマス調整が非常に重要です。
しかし、ヘッドのアジマスについては、経年により僅かに狂いが見られることはありますが、通常の使用ではそれほど大きく狂うものではありません。とはいえ、修理のご依頼をいただいた中には、大幅な狂いがあるといったケースも少なくありません。
これまでの経験上、アジマスに大きな狂いが見られる場合、その状況から、人為的なものが原因と思われる場合がほとんどですが、その中でもナカミチ製のデッキでその傾向が強いように感じます。なぜなら、「音質が今一つ」ということでの相談のほとんどが、ナカミチの中古品を入手されたお客様からだからです。
これは想像ですが、ナカミチを所有されていた方というのは、高音質を求める方やマニアの方が多いため、ユーザーご自身が測定器やテストテープを持たずにアジマス調整を行い、最終的に元に戻せなくなったのではないでしょうか。
なお、ナカミチを含むほとんどのカセットデッキは、修理の際にテープガイドを脱着した場合は、アジマスは100%狂いますので再調整は必須となりますが、素人修理のためそれが行われていないといったケースも見受けられます。
そういったものがそのまま市場に出回り、調整不良とは知らずに新たなオーナーの手元に渡っていると考えられます。
くれぐれも基板上のツマミやヘッドアジマスなどは、測定機器やテストテープ、専門知識が無い状況では決して調整しないでくださいね。