PIONEERの3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、CT-970の修理依頼をいただきました。
新品購入後、修理歴はないということですが、40年ほど保管状態にあったようです。
リッドは電動で開きます。しかし、操作ボタンに反応はあるものの、左側のキャプスタンが回っていないためテープ走行はできません。
また、リールは回転しますが、かなり弱々しい状況です。
カバーを開けます。
昔の機器は、同じ機種でも短期間に相当の改良が加えられることがありました。右写真は他の機体のものですが、まったく回路が異なっているのがわかります。
フロントパネルを取り外してビスを緩め、デッキメカを取り出します。
メカの底部です。ゴムベルトが加水分解で切れています。
ベルト交換に支障になるパーツを分解していきます。
溶けたベルトが周辺に付着していますので清掃を行います。
新しいベルトを取り付けました。
カセットハウジング内の化粧パネルを取り外します。
リールを取り外し、グリスを処置します。
アイドラーゴムを交換します。
左右リールのブレーキ用のゴムを鳴き防止としてシリコン製の代替品に交換します。
ピンチローラーアームを脱着してゴム表面を研磨し、専用クリーナーで処理します。
こちらは右側ですが同様に処置します。
メカを元通り組み立てて、動作確認を行います。
ミラーカセットを用いてテープパスの点検を行います。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の点検を行います。
ヘッドアジマスを調整します。
AUTOBLEを作動させた後に録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。