Victor製3ヘッドデュアルキャプスタンカセットデッキ、TD-V631の修理依頼をいただきました。
3年ほど前から走行系に不具合を抱えており、修理を他業者数社に依頼したものの音沙汰がなく、仕方なくオーナー様自らトライすることにしましたが、途中で断念したということです。しかし、元通りにしたものの、まったく動かなくなったということです。
まったく操作を受け付けません。
カバーを開けます。
底板を外しました。黒い配線が切断しています。
トレイ開閉を検知するスイッチの配線です。断線のためトレイが開いていると誤認識し、それが原因で操作できませんでしたので修復します。
これで動作するようになりましたが、再生速度があきらかに遅い状況です。
TDシリーズ定番の故障、早送り巻き戻し不可という状況です。
メカを降ろします。
写真中央のアイボリー色のパーツは、黒色の円形のアイドラーにキャプスタンの回転を伝達するためのローラーですが、ひび割れが見られます。
まずはギヤ交換を行います。モーターユニットを取り外します。
左写真は早送り巻き戻し用ですが歯がずべて欠けています。右はヘッドの上下動など用です。こちらは欠けはありませんが、
両方とも代替品に交換します。
バックプレートを取り外し、割れたローラーを取り出します。
キャプスタンのシャフトに写真のように取り付けられていますが、割れにより回転がスリップします。
シリコンゴムチューブを代替品して使用します。
アイドラーやピンチローラー、ヘッドなどをクリーニングします。
速度が遅いのは、キャプスタンベルトのスリップが原因ですので交換します。
メカのメンテナンスが完了しました。
再生、早送り等良好です。
315Hzの信号が記録されたテープを再生し速度の調整を行います。
再生ヘッドのアジマスの調整を行います。
録音ヘッドのアジマスの調整を行います。
録再バランス調整を行います。
テープポジションの異なる複数のテープで録再状況を確認し、修理完了です。