本日はSONY社製のDATデッキ、DTC-77ESです。
カセットデッキの3ヘッドと同様、録音中に再生モニターが可能な4ヘッド機です。
大きな不具合はないとのことですが、定期メンテナンスということで依頼を受けました。
筐体を開け、メカを取り出すためにケーブル類と固定ネジを取り外します。
デッキメカです。DTC-1500ESに似ています。DTC-2000ESとはトレイ開閉メカが異なります。こちらの方が鋼製で耐久性が高いと思われます。
ドラムヘッドの部分をアップにしました。写真中央に見えるのはスポンジ製のヘッドクリーナーですが、劣化して触ると粉々になりました。このクリーナーはスポンジの変質によりヘッド表面を腐食させるため、撤去することが必要です。
珍しいアングルで撮りました。ピンチローラーの表面、弾力には異常はありません。ピンチローラー留め具の劣化により取れやすくなっていないか確認も必要です。
メカをひっくり返しました。一番下に見えるのは、ヘッドの信号を処理するRFアンプですが、4ヘッドのため2個付いています。
基盤を外し、構成部品すべてを点検していきます。
2DDのリールメカです。リール部を指で回転させたときにブレーキが利いているか、また、ソレノイドを押し下げたときにスムーズに回転するか確認します。
キャプスタンモーターです。スムーズに回転するか点検します。
モードベルトは硬化&変形しています。これは5~10年で交換が必要ですね。
リングギアの可動部は完全に固着しています。これが原因でDTC-500,300,55ESは樹脂製ギアが破損しますが、この機種はベルト部分が応力を吸収しますので大丈夫です。
固着部のグリスを慎重に清掃します。CRCで柔らかくし、清掃後にグリスを塗布します。
組み立てて試運転です。大変良好に動作するようになりました。
最後にテープパスを点検したところ、若干の狂いが見られましたので調整し修理完了です。
やはりカセットデッキやDATデッキは定期点検が必要ですね。