先ほどの記事に続きまして、では、なぜテープが引っかかるのでしょうか?
もちろん、テープとデッキが完璧である場合は、そういうことはあり得ません。
原因の多くは、「テープのたるみ」です。
DATは、カセットデッキとは異なり、テープをカセットから引き出してヘッドに接触させる構造となっています。ビデオテープと同じです。
そこで、テープを取り出すときの動作を観察すると、その引き出されたテープをカセット内部に収納するため、左側のリールが回転しテープを巻き取ります。
このときに、左側リールの回転が不十分な場合、または、右側リールの固定が不十分な場合に、テープがカセットの内部に収納されない状態となってしまいます。
トレイが開いてもテープの一部が外部に出ていますので、テープを手で取り出そうとしたときに内部の突起に引っかかってしまいます。
また、運よく取り出せても、
わかりやすいように蓋を開けましたが、このようにたるんでいる場合があります。
この状態で再度デッキにテープを挿入した場合どうなるかといいますと、
DATは、テープをデッキに挿入した後、カセットの蓋が開かれ、左右2ケのテープガイドでテープが引き出され、回転ヘッドの正規の位置に留まるようになっています。
それが、先ほどのようにテープが何らかの理由でたるんでいた場合、テープガイド1か所でしかテープを引き出すことができず、その結果、ローディング不良で「CAUTION」表示が出ます。
こうなると一旦電源を切らないとトレイは開きませんが、その際に、異常な状態でローディングされたテープが内部のどこかに引っかかり、トレイが開いたものの、テープはカセット内部に収納されていない状態となります。
これでテープを取り出そうとすると、最初に引っかかったところが運よく外れても最終的には、前回お話しした「爪」に引っかかってしまいます。
以上、たるみが発生する主な原因は、リールモーターのトルク不足、ブレーキパッドの不具合が主ですが、テープ自体の劣化(リール回転が重いなど)や、湿気など使用環境も原因となりえます。
万一テープが引っかかった場合は、慌てず前回お話しした方法を試してみてください。