今日はメタルテープとテープセレクターについてお話しします。
カセットテープの種類は、初めは「ノーマル」のみでしたが、音楽用として高音質が求められるようになって、「クロム」「フェリクロム」と新たな素材が開発されてきました。
これらテープには、その素材に合ったバイアスとイコライザを設定する必要があり、その当時のデッキには、
これはパイオニアのCT-9ですが、このように手動で切り替えるスイッチが標準でした。
フェリクロムまで対応しています。
その後、技術の進歩により、当時の決定版とも言えるメタルテープが開発されました。
このころにはフェリクロムは廃れていましたので、結果、「ノーマル・クロム・メタル」の3種類を切り替える必要が出てきました。
そこで、考えられたのが、ご存知の通り、この凹み(検出孔)によるオートテープセレクターです。
簡単に言うと両端の凹みがクロム、中央部はメタル検出部となります。
ここからが本題になりますが、1年ほど前のことです。GX-Z9100の整備品を購入されたお客様から、「メタルテープが検知されない」と連絡がありました。
確かにGX-93系、GX-Z9100系は、テープセレクターの検出スイッチの接点が酸化し、不具合が出ることがありますが、今回については整備済みですので、あり得ないはずです。
何度がメールでやり取りをしたところ、「他のメタルテープでは正常」とのことです。
よくよくネットで情報を集めると、初期のメタルテープは、オートセレクターは想定しておらず、上記の検出孔が設けられていないということがわかりました。
お客様に確認すると確かに穴が開いていないということです。
メタルテープは大変高価で、当時貧乏学生であった私は頑張ってもクロムテープが精一杯でした。そういったこともあって、40年以上経ってやっと当時の状況を知ることができました。
一方、これはナカミチのCR-40のセレクターですが、ご覧のとおりマニュアルです。ナカミチはちょっと表記が変わっていて、左からノーマル、クロム、メタルになります。一番右がイコライザでノーマルが120、それ以外は70です。
この機種は比較的新しい機種ですが、あえてマニュアルにしているのは、ナカミチを購入するユーザー層(マニア)はメタルテープ使用率が高く、当初の検出孔の無いテープを持っている方に配慮したのかもしれませんね。
以上ワンポイントメモでした。