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オーディオライフ:カセットデッキ、DATの販売・修理を行っています。故障でお困りの方はご連絡ください。

GX-Z7100

A&D GX-Z7100

投稿日:2017年6月2日 更新日:

今日はA&Dの3ヘッドカセットデッキ、GX-Z7100の修理です。

この機種は、GX-Z9100の姉妹機として発売され、サイドウッドやクオーツロックは省かれていますが、上級機とメカや回路はほぼ同一で大変コストパフォーマンスの高いデッキで、当時はもちろん、現在でも大変人気の高いデッキです。

今回修理依頼があったデッキは、オーナー様が学生時代に苦労して入手された思い入れのあるデッキということで、依頼内容はメカのオーバーホールと総合調整です。こちらもぜひ期待に応えるよう頑張ります。

デッキが到着しました。まずは状態を確認します。

電源を入れ、トレイを開けるとモーターの劣化のためか動作音が大きく、また、開閉動作とモーターの動作タイミングから判断するとベルトもスリップしているようです。

右の写真は、テストテープ再生時です。テープセレクター表示が「METAL」「CROM」「NORMAL」すべてが点灯しています。また、出力レベルが極端に小さいようです。

それでは修理に入ります。

右の写真はテープセレクターの検出部ですが、断線しています。これが先ほどの表示エラーの原因です。

メカを取り出すため、フロントパネルと底板を外します。メカの上下4本のビスとケーブル類を外し、前方からメカを引き出します。

まずはフロント部です。トレイを取り外します。

カセットダンパーの変形はあまりありませんでしたが、修正を行います。

右が修正後です。ここが変形してくるとカセットハーフの収まりが不安定になります。

次はヘッド周りです。清掃が行き届いていて綺麗な状態で、動作も良好ですが、分解しグリスアップ等を行います。

左側ピンチローラーのアームに掛かるバネの位置が正規とは異なっていました。

支点部をグリスアップするため左右ピンチローラーをアームごと外しました。

表面に劣化が見られたので少し研磨し、専用クリーナー(アメリカンレコーダーテクノロジーズS-721H:当店の販売サイトで購入できます。)で清掃します。

続いてブレーキパッドの状態を点検しましたが、問題はありませんでした。

アイドラーゴムの状態も良好でしたが、せっかくの機会ですので新品に交換します。当社で使用しているゴムベルト類は国内の工場で製造されている良質品を使用しています。

少しピンボケになりましたが、クリーニングとヘッド消磁を施し、元通りに組み立てフロント部は完了です。続いて背面部に移ります。

背面の基盤を外し、キャプスタン、カムモーター、テープセレクターのメンテナンスを行います。ここで、モーター交換について、オーナー様のGOサインを待ちます。中古品にはなりますが、モーター交換費用は工賃込2000円です。

このモーターはこのままでも動作には影響はありませんが、軸受部の劣化のため開閉するたびに「ギー」という大きな音がします。注油しても音は小さくなりますが、対処療法ですのでまたそのうち再発します。

オーナー様からOKが出ましたので修理を続行します。

キャプスタンのフライホイール部のベルトが当たっている箇所にはゴムカスが付着していますので右の写真のように除去します。

カムモーターのベルトです。右側は元々ついていたものです。キャプスタンベルトとともに状態は良好でしたが、両方とも新品に交換です。

次はテープセレクターの検出スイッチです。右の写真のように接点を清掃し、断線部も半田付けしました。

元通りに組み立てました。これから本体に取り付け調整に入ります。

ヘッドのケーブルを戻すのが厄介です。本体を横にして作業します。

ケーブルを配線し、テープを挿入し再生ボタンを押しましたが、何か変です。FL管の表示は点灯しますが音が出ません。基盤部を見てみると、光っているはずのLEDが消えています。電源に問題があるようです。

右から2番目のヒューズが切れていました。最初に確認したテープセレクター表示が全点灯していたのは、どうやらこれが原因だったようです。

ヒューズを交換し音が出るようになりましたが、ここで問題が起きました。

写真のように左右バランスが異常です。考えられるのは、まずアンプ部のトラブルです。そうなるとちょっと厄介です。

そこで、ヘッドの再生コネクターを左右逆に取り付けたところ、バランスも逆転しました。

ということは、ヘッドの問題です。あまり無いトラブルです。

ヘッドの位置を手持ちのデッキと比べると、明らかに位置がずれています。1mm以上は奥側にずれているようです。

ここは、テストテープと計測器、それに聴感で調整です。

アジマス、左右バランスは完璧です。聴感上も高域が伸びて問題ありません。

テープ速度です。315Hzに合わせます。

バイアスキャリブレーションもOKです。

ケーブル類をまとめて、ボリューム、スイッチ類の接点のメンテナンス、録音バランス等のチェックを行い、修理完了です。

素晴らしいサウンドです。

今回の修理費用は、メカOH、総合調整、カムモーター交換で合計15,000円です。

GX機の不調でお悩みの方はぜひご相談ください。

-GX-Z7100
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