DATデッキは、テープというメディアを使いますから、長時間使用するとカセットデッキと同様、テープの磁性体やホコリなどによりヘッドの表面に汚れが付着します。
これはメーカーの想定内ですので、クリーニングテープの注意書きに書かれているように、数秒間のクリーニングで解消できます。
ところが、DATも製造から30年を経過したものも少なくなくなっており、オープンリールテープやカセットテープがそうであるように、テープ自体の劣化やホコリやカビなどの汚れにより想定外の悪影響を与えるものが増えてきています。高温多湿の地域ではなおさらです。
特にDATは高速でテープと面しますので、テープの状態には敏感で、一瞬にしてヘッドの表面に大量の汚れが付着し「まったく音が出ない」といった状態になります。
私は、ヘッドの状態は拡大鏡を用いて確認しますが、メーカーが想定していた方法では対処できないほどの汚れが付着していることがあります。
ではどうしたら良いかといいますと、一つ目の方法としてはカセットデッキと同様、直接汚れをふき取ることなのですが、これは一般の方にはお勧めできません。その理由は、ヘッドを破損する可能性が極めて高いからです。DATデッキのヘッドはとても繊細ですので、ノウハウを持っていなければ簡単に破損してしまいます。私もこれまで多くの破損したヘッドを見てきました。
二つ目の方法は、やはりクリーニングテープを使用することです。ただし、クリーニングテープの表面は汚れを削るため荒い仕上げとなっており、やみくもに長時間使用することは避けなければなりません。
ヘッドの表面に付着した汚れのみを除去すればよいのですから、できる限り最短で処理します。「10秒程度クリーニングし、その後再生状態を確認する。」という作業を繰り返すことです。
とはいえ、なかなか個人では判断しかねるでしょうから、迷ったときには専門業者にご相談ください。