本日はSONY社製のDATデッキ、DTC-500ESの修理です。
SONYのDAT1号機であるDTC-1000ESの廉価版として1988年に発売されましたが、当時の販売価格は160,000円とまだまだ高値の花でした。
1000ESとのメカニカル面での違いは、リールモーターが1モーターとなったことや、トレイメカがシンプルになったことですが、外観は重厚で高級感溢れるデザインとなっています。また、中身は同一でミニコンポサイズのDTC-M100という機種が存在します。
本機体は、テープの出し入れのみ可というもので、ローディング機構に不具合があり、まったく動作しません。
銅メッキシャシーです。左側のトレイメカは1000ESと異なり、フロントパネルはそのままで外すことができるのですが、何度やっても引っかかってしまいます。なぜでしょう?
わかりました。トレイの正面に付いているカバーの下の透明部分がずれています。両面テープで固定されているのですが、長年の重力でずり下がって、その部分が引っかかっていたようです。右は修正後です。
やっとトレイメカを外せました。ここのベルトが硬化してトレイの動作不良が起こるのですが、交換済みでした。
ヘッドやリールメカ、ローターリーエンコーダーなどすべてのパーツを点検します。
黒いピンチローラーの右側の可動式テープポストは予想通り固着していました。後ほど修理します。
この500ESと1000ESは、このように基盤が開閉できます。メンテナンスを考慮したすばらしい設計だと思います。メカを取り出すためにケーブルコネクタ類を外します。SONYの製品は、コネクタの形状や色がすべて異なっているため、後で迷うことはありません。
裏側から構成部品を外していきます。
リールが滑らかに回転するか、ブレーキが利いているか点検します。小型ケミコンも念のため新品に交換します。
小さなほうのギヤが欠けています。リングギヤが固着した状態で運転させるとこのようになってしまいます。リングギヤはガチガチに固まっていましたので、グリスアップします。
可動式のテープポストです。決して無理に引っ張らないでください。半田ゴテで温めながら慎重に外します。固まったグリスを清掃しグリスを塗布します。
ロータリーエンコーダーのギヤもひびが入っています。いずれ割れてしまい動作不能になりますので補修します。最後にエンコーダーの調整を行うのですが、この機種と300ES,M100,55ESについてはとてもシビアです。再生・巻き戻し・早送りすべて良好に動作するポイントがありますので、時間をかけて調整します。
以上、この機種でウイークポイントとされている箇所はすべて不良となっていましたが、適切なメンテナンスを行うことにより快適に動作するようになりました。