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カセットデッキやDATデッキに限らず、家電製品にはそれぞれ故障しやすい箇所、ウィークポイントを抱えています。
強度不足や経年劣化が主な原因ですが、私がこれまで経験してきた機種ごとの故障個所について記事にしていきます。
はじめは、SONY DTC-1000ESです。
DAT1号機ということもあり、当時の技術のすべてを投入して開発されたデッキですが、メカを抱えている以上、物理的なトラブルは避けられません。
【発生確率】は、私が扱ってきた機器を対象に、おおむねの数値を記載しています。
1 ゴムベルトの劣化:この機器には、トレイ駆動用2か所、テープガイド駆動用に1か所ゴムベルトが使用されていますが、経年劣化により硬化し、動作不良が発生します。【発生確率100%】
2 テープガイドの固着
写真中央左側に見えるアームの支点部のグリス硬化によりアームが固着しテープローディング不可となります。【発生確率95%】
3 リングギア固着:リングギアのスライド部のグリス固化によりスライド不良となり、テープガイドの動作不良が発生しノイズ発生などの再生不良が起こります。【発生確率95%】
4 リールメカのブレーキパッド固着
中央上部に見える白色と黒色のレバーにパッドが貼り付けられていますが、長期間不使用で置いておくと、湿気などによりパッドがリールに固着しリールが回転しなくなります。【発生確率10%】
5 リールメカのブレーキパッド摩耗
パッドの摩耗によりブレーキの効きが悪くなり、早送り・巻き戻し後にテープのたるみが発生し、再生ボタンを押しても数秒間再生が開始しない、または停止してしまいます。【発生確率3%】
6 樹脂製ギアの固着
テープガイド駆動用のウォームギアの軸に塗布されているグリス固化により動作不良が起きます。また、トレイメカ駆動用のギアも同様です。【発生確率20%】
7 ロータリーエンコーダーのギア破損
このギアははめ込み式になっていてギアに応力が加わっています。また、なぜか2つ穴が開いていて強度不足のため、ここにひび割れが発生し、最終的には2つに割れてしまい動作不良が起きます。【発生確率95%】
8 ドライブボードのケミコン劣化
100μFの容量抜けによりドラムヘッドの動作不良が発生し、再生音が途切れます。【発生確率3%】
9 ドラムヘッドの固着
この機種ではごく稀ですが、回転軸が固着します。固着したヘッドの9割以上は再起不能です。【発生確率2%】
10 メイン基板のトランジスタ不良
メカに印加する電圧を担っているトランジスタの故障によりメカの動作不良が起こります。【発生確率2%】
以上、DTC-1000ESのウィークポイントを掲載しました。この機種に限らず、故障の発生する可能性は常に存在しますので、お持ちの方は定期的なメンテナンスを受けることをお勧めします。