DTC-ZE700の修理依頼をいただきました。
テープが中に入ったまま動作しない状態とのことです。
電源を投入するとすぐさま「CAUTION」表示が出ます。
トレイカバーを手で開き中を覗くと確かにテープが閉じ込められています。イジェクトボタンも利きません。
カバーを開けてみると、テープが中に引っかかっています。
メカを取り出しました。まずはテープを救出します。
指でプーリーを回してトレイメカを動かし無事取り出すことができました。
トレイメカにはホコリが付着していました。動作不良の原因になりますので清掃し、可動部にシリコンを塗布します。もちろんウエスで他の場所を養生しながら慎重に作業します。
メカを覗き込むと、異常が確認されました。ピンチローラーが外れそうです。樹脂製の留め具が劣化によりひび割れしていますので抜け止め措置を行います。ここに気づかないと輸送中の振動でピンチローラーが外れ、再生が早送りになってしまいます。
メカを分解します。修理歴はありません。
基板を外し、リールメカを取り出しました。
左右ブレーキパッドに異状はありません。
ここのギアが固着しています。グリスが固まっていますので、ギアが変形しないように慎重に取り外し、古いグリスを取り除いた後シリコンを塗布します。
可動式のテープガイドを駆動するギアを固定する留め具も割れてしまっていて、片方はすでに外れています。ここも抜け止め対策が必要です。
それ以外の箇所も可動部はグリスアップを行います。
元通りに組み立て、動作確認です。テープ走行は良好ですが、若干ノイズが乗ります。テープパスを確認したところ、２つあるヘッドのうち、片方の信号が出ていません。クリーニングテープを１０秒程度走行させた後、若干改善され微小な信号が確認できましたのでヘッドの汚れが原因です。少し長めのクリーニングを行うと完全に回復しました。
テープパスも微妙に狂いが確認されましたので調整を行いました。
録音再生良好です。最後にヘッドフォン出力を確認したところガリが出ていましたのでVOL清掃を行い修理完了です。以上修理費用は１５，０００円です。
DTC-ZE700は、同様のメカを持つ57ES、59ESなどと比較すると安定性・信頼性が高められていますが、樹脂製のパーツやグリスの劣化は避けられず、定期的な点検が必要になります。動作不良が見られましたら当店にご相談ください。
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