お客様からDTC-59ESの修理依頼がありました。
突然音が出なくなったとのことです。ヘッドのクリーニングは行ったということですので、機器を送っていただき修理を行うことになりました。
機器が到着後動作確認したところテープ走行は問題ありませんが、確かに音が出ません。
早速測定器を用いてヘッドからの信号をチェックしました。そうすると、2つあるヘッドのうち片方から信号が出ていません。念のため拡大鏡でヘッドチップの状態を目視点検しましたが、汚れや破損はありません。
ということはドラムヘッド内部の故障です。一般的にDATデッキのヘッドの寿命は数万時間と言われていますので、毎日2時間使用しても50年前後は使用できる計算になりますが、個体差や使用環境が原因なのか、極端に寿命が短いものが時たま見受けられます。
ヘッドが故障した場合、新品はもちろんのこと中古品も入手が極めて困難ですので、修理を諦めるかジャンク機を入手してそこから移植するしかありません。
今回修理依頼のあった機種は比較的流通台数も多く、また同型のヘッドは他機種にも広く使用されているので、部品調達では事なきを得ましたが、高級機であるDTC-1500ESや2000ES、ZA5ESなどは流通量も少なくジャンク機の入手も困難ですし比較的高価です。これら機種にヘッドの故障が発生した場合は中古ヘッドの入手ができないことが多く、修理不可、あるいは長期間の修理を強いられます。
こういった状況を避けるためにも、愛機であるメイン機とは別にサブ機を用意して、用途により使い分けるといったことが今後も長く愛機を使用するためには必要ではないかと思います。
ヘッドの互換性は次回の記事に記載します。