先日のEXに引き続き今回は無印の9100です。
ヘッドブロックが下がり切らないとのことです。おそらくグリス固着が原因と思われます。
なんとかトレイは動作しますが、ヘッドブロックは手で押し下げてやらないとテープがセットできません。トレイ開閉の動作音も大きめです。
筐体を開きました。結束バンドが外されていますし、規格外のビスが使用されています。
ケーブルがブラブラしています。振動で断線しないよう、面倒でも束ねることが必要です。
メカを取り出してカセットホルダーと背面パネルを外します。
左右ピンチローラーのアームが固着と右側のテープガイドの破損が見られます。ヘッドブロックが下がり切らない状態で無理にトレイをこじ開けるとこのような状態になります。
ここでオーナー様にトレイ開閉用のカムモーターとテープガイド交換について指示を仰ぎます。材工合わせてモーターが2000円、テープガイドが2500円です。
快諾いただきましたので作業を続行します。
右が破損しているテープガイドです。テープガイドを固定しているナットは緩み止めのネジロック剤で固定されており、無理に外そうとすると軸が折れてしまいますので注意が必要です。
アイドラーの交換は必須です。
左右ピンチローラーをアームごと取り外します。可動部分の固くなったグリスを除去し、新たにグリスアップを行います。ピンチローラーのテカリが見られますので、表面を軽く研磨し専用のクリーナーで清掃します。
綺麗になりました。グリップ力も復活しました。
元通りに組み付けます。後でテープパス調整が必要です。
次は背面に移ります。基盤を外し、キャプスタンモーターのフライホイール、カムモーター等を取り外します。
ベルトの当たり面はゴムカスや汚れが付着していますので、清掃します。
カムモーターのベルトはGX機の弱点ですので必ず交換します。
軸受けの劣化により騒音を発生しているモーターをEV用の改良型に交換しますが若干の加工が必要です。
モーターの取り付けビスのサイズと位置が異なりますので、穴の拡大と長穴加工を行います。
ビスも3mm×3mmのタイプに変更です。
続いてはテープセレクターの検出スィッチです。
接点が黒く汚れていますのでクリーナーで清掃します。
組み付けました。これからメカのテストを行います。
ヘッドブロックや左右リール、キャプスタンの動作チェックをします。
動作良好でしたので、本体に組み付け、録再の調整を行おうとしたところ、左側の音が出ません。再生は問題ないのですが、入力に問題があるようです。
原因はCD-DIRECTとの入力切り替えスィッチの接触不良でした。接点復活剤で接点のメンテナンスを行い無事復旧しました。
テストテープでテープスピードのチェック、アジマス調整、録再バランス調整を行い修理完了です。素晴らしい音質です。
以上修理費用は17500円です。GX機の不調でお困りの方は当店までお問い合わせください。