今回は2回にわたり、デッキに使用されているゴム製品の劣化について記載します。
そのうち今日は「硬化」についてです。
DTC-ZE700のトレイ開閉不可の修理を行ったときの写真です。ご覧のようにトレイベルトが見事に切れています。これでは開閉できないはずです。
どんな状態になっていたかというと、外周すべてにおいて亀裂が発生しています。
これはゴムが劣化し硬化したことによるものですが、そもそもなぜ硬化するのでしょうか。
デッキに使用されているゴムが硬化する理由は大きく二つあります。一つ目は「酸素とオゾン」です。オゾンは自然界に存在する物質で殺菌や脱臭効果を持っていて、空気中で放電が行われたり、紫外線に当たると発生します。
もうひとつは「熱」です。
デッキは長時間使用していると結構発熱します。そのために筐体に換気スリットがあけられている機種が多くありますが、中には上部の換気スリットが設けられていない機種もあります。ほこりによるトラブルを回避することが目的でしょうが、外気を取り込むことがほとんでできないので、使用されているパーツへの熱による負担は相当のものでしょう。
その一方で、換気が行われにくいということは、新たな酸素が供給されにくいというメリットを持っているので、使用されているパーツへの影響のみを考えるとどちらが良いとも言えません。
いずれにしても、この二つの要因により、特にゴムベルトに大きな悪影響を及ぼします。とはいえ、SONYのデッキに使用されているトレイベルトについては、比較的耐久性が高いので、通常使用するであろう10年程度では切断に至ることはまずありえません。
しかし、比較的新しい機種のDTC-ZE700といえども製造からすでに20年以上が経過していますので、徐々に影響が出ているのも事実です。また、使用頻度が高いと影響を受けやすくなるでしょう。
上記は、ZE700に限らず、他の機種においても同様です。トレイベルトの切断で大きなトラブルに至ることはまずありえませんが、使用しないときは電源をOFFにし、定期的なメンテナンスを受けることは必要ですね。
※誹謗中傷を目的とした閲覧や転載は固くお断りします。