A&Dのカセットデッキ、GX-Z7000の修理依頼がありました。
25年ぶりにカセットテープを聴こうとしたところ、カセットホルダーが開きっぱなしで再生できないとのことです。
電源をONにすると大きな唸り音とともにトレイが開きます。カムモーター自体の劣化とベルトの劣化が原因です。ほかに不具合が無いことを祈ります。
一番心配なのは、マスターVOLの故障です。中古も含め部品の入手が非常に困難だからです。LINE-INにケーブルを接続して確認したところ、左側の入力が極めて小さい状態ですが、試しに何度か回転させるとメーターが振れましたので、単なる接触不良のようです。後ほどメンテナンスを行います。
25年間の埃が積み重なっています。エアコンプレッサーを用いて吹き飛ばしました。
早速メカを取り出します。
まずはカセットハーフを押さえつけるダンパーの修正を行います。これをやるかやらないかで音質の安定度に大きな差が出ます。
ヘッドまわりを点検します。テープガイドの破損はありませんが、右側のピンチローラーのアームがびくともしません。
半田ゴテで温めながら慎重に取り外します。固まったグリスが付着していますので丁寧に取り除き、グリスを塗布します。
ピンチローラーは専用クリーナー「S-721H」で清掃します。新品のようになりました。
このクリーナーは当店の販売サイトで購入できます。お勧めですので是非お買い求めください。
次は左側リールのブレーキの点検です。パッドが取れそうになっていましたので、不織布製のパッドを新たに取り付けます。
アイドラーゴムはすでに切れてしまっています。新品交換です。
キャプスタンのホイールの当たり面がゴムカスなどで凸凹しています。ベルトも汚れがひどいです。当たり面はピカピカに磨き、ベルトも新品です。
これはトレイ開閉とヘッドの上下を駆動するカムモーターです。劣化して異音を発生していますので、改良型のものに交換します。
テープセレクターの検知スィッチの接点も真っ黒になっていますので清掃します。
メカのメンテナンスが完了しましたので、各種VOL,SWの接点のメンテナンスを行った後に調整に移ります。
テープ走行、再生出力OKです。
テープ速度を調整します。
アジマスは良好でした。
ケーブルを束ねて修理は完了です。
25年ぶりの復活ですが、時代やブランクを感じさせない良い音です。GX-Z機の修理は当店にお任せください。