今日はSONY製DATデッキのテープガイドのお話です。
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DATデッキの構造上、あるいは整備するうえで重要な役割を担っているのがテープガイドです。写真はDTC-57ESですが、回転ヘッドの下に見える2つのテープガイドは、テープがセットされるとテープをヘッドの位置まで引き出し、ヘッドとテープの位置関係を正確に保ちます。
また、ビデオデッキでいうところのトラッキング調整、DATデッキではテープパス調整と呼びますが、テープガイドの頭を回すことにより、ヘッドに接するテープの位置を微妙に調整することができます。
この写真は、左側がDTC-55ES用、右側がDTC-2000ES用のテープガイドですが、調整を行う場合は、テープガイド頭部を固定している根元の小さなネジを緩めて行います。左右写真の違いは、色と、この小さなネジの頭の形状(左は+、右は-)です。
この型式のもので注意が必要なのは、写真のように簡単にガイド部が外れてしまうことです。私も整備中や輸送中に脱落した経験が何度かあります。これを嫌って接着剤で固定する方もいるようです。
次にまた57ESに戻りますが、少し形状が違うのがわかるかと思います。
分解するとこのようになっていますが、先の55ES等と異なり、ガイドをスプリングの圧縮力を利用して固定しています。これですと、いちいち根元のネジを回さないで良いので調整が楽なんですが、意外な落とし穴が待っています。
それは、調整を行っているうちに、写真で金色に見えるネジ込み部がバカになってしまうことです。焼き付いたように回転が固くなり、遂には調整不可、破損状態に至ります。理由は、スプリングの力がネジ込み部の摩擦力を強め、これにネジ部が負けてしまうためです。
これを防止するためには、一旦写真のように分解し、ネジ込み部に微量のグリスを塗布し、その後に調整を行うことです。
このタイプは、57ESのほか、59ES、A7、790、690、ZE700にも採用されていますので、調整の際には十分留意する必要があります。
※テープパスの調整には専用の用具や測定器が必要です。安易に触れると元に戻せなくなりますのでご注意ください。