AKAIのGX-93の不動品を修理していたときのことです。デッキメカの分解整備を終え、動作確認を行いました。テープ走行は良好ですが、肝心の音が出ません。メーターも振れません。試しにLINE入力を接続しましたが、これまたまったく反応がありません。
左右両チャンネルに不具合が発生するということは電源の不具合が疑われます。回路図を眺めながら電圧のチェックを行っていきます。
すると、TR322から出力する約7Vの電圧が異常に低い値を示しました。
この7Vは、ドルビーICに電圧供給を行うものです。一番疑わしいのは、TR322の上にあるダイオードですが、問題はありません。次に疑わしいのはTR322自体の不具合です。取り外してトランジスタチェッカーで点検しましたが正常です。
ということは、ドルビーICに故障が生じたのでしょうか?これを確かめるため、TR322からドルビーICに至るジャンパ線を切断しました。しかし、TR322から7Vは出力されません。
そこで、TR322周辺のパーツのチェックを行ったところ、R323が無限大の値を示しました。これが故障の原因です。
触ると簡単に破断してしまいました。抵抗は比較的信頼性の高いパーツですので、極めて珍しい現象です。
無事復旧しました。長いことやっているといろんなことがあるものです。
GX機の不具合でお悩みの方は当店までご相談ください。