お客様から2台同時に修理依頼がありました。1台はDTC-300ES、これは後ほど記事にしますが、もう一台はDTC-690です。いずれも再生不良とのことです。
まずはDTC-690の状態を確認します。
テープローディング、テープ走行に不具合は無いように見えましたが、アンプに接続して確認すると周期的にノイズが乗ります。RFシグナルをチェックしたところ、信号が波打っています。テープ走行が不安定なときに発生する状態です。メカの分解整備を行います。
カバーを外してまず目に入ったのが、純正のヘッドクリーナーです。パッと見た感じでは問題無いようですが、ご覧のとおり触るとバラバラになりました。幸いにもヘッドの浸蝕はありませんでした。
メカを本体から取り出してメンテナンスを行います。まずは、トレイメカです。この樹脂製パーツの可動部の動きが悪くなって不具合が生じることがありますので、シリコンを塗布します。
メカの底面の基板を外し、リールメカを取り出します。修理歴は無いようです。
ここの白黒のギヤはグリスが若干固まっています。除去しシリコングリスを塗布します。ローディングの際に「ギー」と悲しい音がする場合はここが原因ですので異音対策にもなります。
このメカの一番のウィークポイント、白黒ギアを固定している白い小さな樹脂製留め具は、まだ割れが発生していませんが、トラブル発生を防止するため外れ止め対策を施します。
ブレーキパッドの状態は良好です。回転部にグリスアップし摩擦減少を図ります。
メカを元に戻し試運転です。ノイズは無くなりました。念のためオシロを接続しRFシグナルの状態を点検します。整備前のような波うちは無く安定しています。
デジタル、アナログ(SP/LP)での録再チェックを行います。ヘッドフォンVOLにガリがありましたので修正します。
修理完了です。動作も軽やか、音質も良好です。次はDTC-300ESの修理を行います。