今日はブレーキパッドの話です。もちろん車のブレーキのことではありません。テープデッキは回転部分を有していますので、慣性で回り続けるリールなどを急停止させたり、テープ走行を安定させるためにブレーキ機構を有しています。ところが、このブレーキパッドに起因する故障は意外と多いとことをご存知でしょうか?
今日はまず、カセットデッキの左側リールに付けられているブレーキパッドについて記事にします。このパッドは、再生時にテープに対してバックテンションを与えてテープ走行を安定させる役割を担っています。このパッドに一番多く発生するのが「脱落」です。ほとんどのパッドが両面テープで貼り付けられていますが、経年劣化により粘着力が弱くなり、所定の位置からずれてしまったり、脱落してしまいます。
この場合の症状としては、バックテンションが無くなることによりテープが進行方向と垂直方向に振れてしまい、「音のこもり」や、最悪の場合はテープガイドから脱線してテープがしわくちゃになります。パッドが外れやすいのはAKAI(A&D)のデッキですが、不具合が発生しやすいのはSONYです。
もうひとつ多い不具合が「硬化」です。ブレーキパッドはフェルトでできていますが、長期間ブレーキとして使用されているうちに表面が硬くなります。そうすると、パッドとリールの当たり面の摩擦力が大きくなり、必要以上のバックテンションがテープに掛かります。これはAKAI(A&D)のデッキに多く発生しますが、テープの終わりごろに音が揺れだします。ピアノの楽曲を聴いているとすべてビブラートが掛かっているように聞こえます。
上記の症状が発生した場合はまずパッドの点検を行うことをお勧めします。