先日バックテンションの調整を行い快適に動作していたTC-R6ですが、今度は突然、テープ速度に異変が生じました。電源をONにし、再生を開始すると、女性ボーカルのはずが男性ボーカルになっています。明らかにテープ速度が遅くなっています。TC-R6は9.5cm/secと19cm/secの2段階、テープ速度を切り替えることができますが、操作を受け付けません。
ところが、再生したまま10分程度放置しておくと、いきなり正常に戻ります。しかし、早送りや巻き戻しを行った後や電源をOFFにした後は、また不調になります。ここは回路図の出番です。
テープ速度を制御しているのは、キャプスタンモーターです。TC-R6は、電源ONでキャプスタンモーターが始動しますが、基本的には他の回路とは独立しています。また、回路も至ってシンプルで、原因の特定はそう難しくないと踏んでいました。
回路図を見ると、安定した回転数を保つFGサーボによりICひとつとトランジスタ3つでモーターをコントロールしています。普通の電解コンデンサーは以前すべて交換しましたので、壊れそうなパーツといえば、タンタルコンデンサーかトランジスタでしょうか。
とりあえずタンタルコンデンサーは普通のケミコンに交換しましたが変化は見られません。また、トランジスタはひとつずつ取り外してチェッカーで点検しましたが、問題はありません。もちろん、テープ速度切り替えSWも分解し接点を清掃しましたが変わりありません。
気になったのは、動作が正常になったり異常になったりすることです。普通、電子部品の故障の場合は、正常か異常かのどちらかに傾きます。
TC-R6のコントロール基板は背面にあり、ネジ2本を外すとメンテナンスしやすいように基盤が水平に傾きます。
仕事の合間に試行錯誤しながら原因の特定を進めます。故障の可能性の低いICも念のため交換しましたが症状は改善されません。そうこうしているうちに一週間ほど経過しました。作業部屋はそんなに広くないので、大型のデッキをいつまでも中途半端な状態に置いておくわけにはいきません。
朝目覚めてもこのデッキのことが気になります。ここは初心に帰るしかありません。「常時発生しない不具合は接触不良が原因」がセオリーです。スイッチ類の点検は終えていますので、残るは半田不良です。
老眼鏡と拡大鏡を駆使しながら基板を点検しますが、目視ではいわゆる半田クラックは見られません。こうなると、回路図を見ながら、関係するところをすべて再半田するしかありません。
数十か所の再半田を終えました。数日間経ちましたが今のところ不具合は発生していません。ラックに戻して当分様子を見ることにします。