今日はちょっと珍しい機器の修理です。パイオニアのDATデッキ、D-C88です。据え置き型とポータブルのちょうど中間、カセットデッキでいうところの「デンスケ」という位置づけになるのでしょうか?内蔵バッテリーにより携帯しての使用が可能となっています。
1994年に定価198000円で発売され、大きさはA4サイズで厚さは6cmほどとコンパクトです。故障の状況ですが、「電源が入らない」とのことです。これまで取り扱ったことがない機種ではありましたが、普通に使用していたものが突然故障したということですので、走行系やアンプ系には問題は無く、電源部の故障であると判断し機器をお預かりしました。
コンパクト機は分解に手こずることが多いのですが、幸いにも海外サイトでサービスマニュアル(英語版)が販売されていたので、早速それを入手しました。
まずはサイド、フロント、リアパネルを取り外します。次に上面のパネルですが、固定ネジ1か所はカセット蓋を開けないと回せません。イジェクトボタンを押しましたが、電動のため開きません。ここでサービスマニュアルの登場です。
フロントパネルを外したところ、ちょうど指の先に指しているところにあるレバーを押し下げると蓋が開きます。ところが今度は蓋を外さなければなりません。プラスチック製ですので無理すると破損します。これも親切にマニュアルに書いてありました。英語ですが・・・
まずはネジを外して、ヒンジ部はハメコミですので少しドライバーでこじりながら取り外します。右の写真左上に写っている最後の一か所のネジを緩め、これで上部カバーを開けることができます。
中央上部にあるのが電源基板です。おそらくここに故障の原因があると思います。
基板をひっくり返しました。トランジスタみたいな形をしているものがいくつか見えますが、足が2本ですので違います。
トランジスタではなく過電流保護素子といいます。5ケほどありますのでひとつずつテスターを当てていきます。ありました。IC2が絶縁しています。これはICP-N20という名称で、800mA以上で破断し回路を保護するもので、SONYのカセットデッキTC-K555ESLの電源部にも使用されています。
この機器にはこれ以外にもICP-N25、ICP-N38というのが使用されていますが、ネットで検索すると、このN20は最低オーダー数が数百個となっています。バラ売りなどありません。そこで海外のサイトで検索すると10個単位で販売しているところを見つけました。オーダーを終え、当分修理は中断です。(その2に続く)