久しぶりにDTC-2000ESの修理です。表示パネルの暴走ですが、メーカーSSで「修理不可」と返されたということです。オーナー様とお話をして、デッキメカのメンテナンスも併せて行うことになりました。
届いてビックリしました。電源コードが改造されています。
電源を入れたところいきなり「CAUTION」です。続いてイジェクトボタンを押すと表示の暴走が始まりました。この症状は操作ボタン(SW)の接触抵抗増加によるマイコンの暴走が原因ですので、リモコン操作では発生しません。ところが一旦電源をOFFにしてリモコン操作しましたが。トレイが開きません。
まずはメカの修理(メンテナンス)を行います。
カバーを開けた瞬間、何かが物足りない気がしましたが、トレイ開閉用のベルトがありません。
ベルトは底に落ちていました。劣化してボロボロの状態です。
デッキメカを本体から取り出しました。トレイメカの部分に埃が積もって動作に影響を及ぼしそうですので、清掃しシリコングリスを塗布します。
ピンチローラーの点検を行ったところ、かなり表面がスベスベになっていますので専用クリーナーS-721H(当店で販売しています)でクリーニングします。
続いてメカの底面の基板を取り外して、各ユニットの点検を進めます。
MDボードが汚れています。アルコールで清掃しますが、おそらく裏側のコンデンサーの液漏れでしょう。見た目ではわかりにくいので後ほど確認します。
リールモーター、キャプスタンモーター、樹脂製ギア、リングギアの順に解体します。
まずはリングギアです。スムーズな動作を行うためにはここの清掃は必須です。
綺麗&滑らかになりました。はみ出したグリスもふき取ります。
中心に写っている金色の丸いパーツは、リングギア微調整用です。DTC-77ESと同じですが、ほかの機種にはありません。
2DDリールメカの点検を行います。
先日のDTC-ZA5ESと同様、ブレーキパッドの状態は◎です。
リングギアを駆動するモーターの動力を伝達するベルトですが、トレイ開閉用のベルトと同様、簡単に切れてしまいました。
先ほどのMDボードの液漏れの影響を確認するため、まずはそのまま組み立てて動作確認を行います。予想通り不具合が生じました。不思議な現象なのですが、ヘッドからの信号は出力されているのですが、その信号が大きくなったり小さくなったりします。テープ走行が不安定な場合は信号が波打つのですが、そうではなく、「大」「小」を繰り返して音が出ません。そこで、先ほどの汚れていた基板の裏側にある電解コンデンサーを交換したところ、不具合は無事解消されました。ヘッドの回転が不安定だったようです。
テープ走行と音声出力が正常になりましたので、次は表示パネルの修理に移ります。
不具合に関係するSWを全交換します。
元通りに組み立てて、動作確認を行います。表示パネルの暴走はなくなりました。録音再生も良好です。
やっぱり2000ESはいいですね。