電化製品には沢山の電子部品が使用されています。最近の製品では集積化が行われ部品の点数自体は少なくなりましたが、それでも数百から数千ものパーツにより構成されています。
電子部品には、トランジスタ、抵抗、コンデンサー、IC、コイル、ダイオード等々、多くの種類がありますが、その中で寿命が短いのは断トツで「電解コンデンサー」です。
その寿命は、メーカーによると約10年と言われていますが、この場合は100%の性能を保持する期間と思われますので、動作に著しい影響を与えない実用的な寿命は、これまでの経験上、30~50年程度と思われます。ただし、製造時の精度やロット、使用されている材料のほか、温度などの使用環境により大きく異なります。
一時期、外国製の電解コンデンサー不良が原因のパソコンのマザーボード故障が話題となったことは記憶に新しいと思います。この時はCPUの熱の影響ということもありましたが、数年で寿命となりましたので個体差の非常に大きなパーツであると言えます。
カセットデッキに限定して見てみますと、SONY製で有名なのは、キャプスタンモーターに使用されている基板実装型電解コンデンサーとリモコンの受光部に使用されてる小型の電解コンデンサーの劣化による故障というものがあります。また、一部機種では、アンプ部の高級コンデンサー液漏れということも報告があるようです。その一方で、AKAIやA&D製のデッキでは、電解コンデンサーの不具合による故障というのはほとんど見かけません。
また、DATデッキでは、DTC-57ES辺りの機種のRFアンプの基板実装型電解コンデンサー、同じくDTC-57ESの電源部の電解コンデンサー、DTC-77ESのディスプレイ基板、DTC-1500ESのMDボード・デジタルボードなどに使用されている基板実装型電解コンデンサーなどの液漏れによる故障が多く見られます。
近年、名機と呼ばれているオーディオ製品では、専門業者によるOH作業が行われていますが、その場合、電解コンデンサーはほぼすべて新品に交換されていますし、それ以外では、スィッチや可変抵抗、リレーといった接点を有するパーツも場合によっては交換の対象とされています。
高性能カセットデッキやDATは1980年代後半以降に製造されていますので、それらアンプと比較すると歴史はまだまだ浅く、電解コンデンサー全交換というメンテナンスはほとんど耳にしませんが、間もなくそんな時代が来るのかもしれませんね。