前回、電解コンデンサーの寿命について、一般論を記事にしましたが、その後、個人的に気になったため、実際に測定することにしました。
まず用意したのは、A&DのGX-Z9000のメイン基板です。GX-Z9000は1987年頃に製造されていますので、30年経過しています。
そこから取り出したのは、製造メーカーの記載はありませんが、ニチコンあたりでしょうか。4700μF/25Vが3ケ、2200μF/25Vが2ケ、10μF/50Vが2ケです。
測定に使用するのは、自作のキャパシタメーターです。それでは始めましょう。
最初は4700μFです。偶然にも3ケとも4190μF(89%)となりました。測定器の故障ではありません。
続いては2200μFです。1990μF(90%)、1900μF(86%)となりました。
最後は10μFです。2ケとも11μF(110%)です。
次に用意した基板は、SONY DTC-300ESのアナログ基板です。1989年頃の製造ですので約30年経過しています。
使用されているコンデンサーは高級品です。ELNA製6800μF/35Vが2ケ、ニチコン製と思われる1000μF/63Vが2ケ、ELNA製2200μF/16Vが2ケです。新品で購入すると1本1000円もするような代物が使用されています。
6800μFです。6090μF(90%)、6490μF(95%)となりました。
1000μFです。890μF(89%)、900μF(90%)となりました。
2200μFです。2390μF(109%)、2490μF(113%)となりました。
【まとめ】以上結果から、ほとんどのコンデンサーが30年経過後も90%程度の容量を維持しており、設計で見込んでいる安全率を考慮すると、動作に与える影響は、ほぼ無いと言えます。
ただし、電解コンデンサーは熱に弱いため、使用環境やコンデンサーの設置位置(パワートランジスタの近くなど)などによって寿命は大幅に異なること、また、既知の問題となっている不良コンデンサーについては、早期に交換することが望ましいことに留意が必要です。