「ニコイチ」という言葉をご存知かと思います。有名なのは、廃車となるようなダメージを受けた自動車で前部を破損したものと後部を破損したものを合体して1台の使用できる自動車を作り上げるというものです。
どちらかというと悪いイメージのある言葉ですが、パーツの入手が困難なヴィンテージカー・旧型車の修復には常識的に行われている方法です。
このことは、カセットデッキやDATデッキでも同じです。ヘッドや基板など入手困難なパーツが故障したデッキと、外装のダメージが酷いデッキを組み合わせて1台の動作・外装良好なデッキとすることは、使用できるパーツの活用方法としては有効な手段ではないでしょうか。
ところがニコイチには注意すべき点があります。少し前に友人から聞いた話ですが、中古車を購入したところ、カセットデッキが組み合わされたカーコンポが付けられていたということです。しかし、残念ながら、テープを挿入してもすぐにイジェクトされるという不具合を抱えていたのですが、それ以外のアンプなどのユニットは使用できそうだったので、オークションでなんとか同型のジャンクデッキを入手したそうです。ところが、いざ設置してみると同じ不具合があって結局使えなかったということです。
電化製品に限らず、すべての機器には、その機器特有のウイークポイントを抱えています。私が扱っているカセットデッキとDATデッキも、機種名を聞くだけで発生する不具合と故障個所がイメージできるくらいです。限りなく100%に近いと言っていいくらいの確率で同じ箇所に故障が起きるではないでしょうか。
ですから、お持ちのデッキのメカが故障したからと言って、オークションでジャンク品を手に入れても、単なるニコイチ、メカのスワップだけで動作するようになる可能性は極めて低いと思いますのでご注意ください。