このブログ初登場のTC-K333ESLです。といっても今回は修理記事ではありません。
ESG以降のSONY製カセットデッキは、ESL、ESAとモデルチェンジが頻繁に行われましたが、内容としてはマイナーチェンジに近いものがあり、メカや回路などの基本的な部分は同じになっています。
ただし、マイナーチェンジでも不思議に思うところがあります。
それはこのオーディオボードです。部品の配置など見た目は旧モデルのESGとほとんど見分けがつかないのですが、着目すべき点は、ESG(222ESGは除く)で採用されていた「ELNA製オーディオ用電解コンデンサーDUOREXⅡ」が使用されておらず、その代わりに「ニチコン製オーディオ用標準品AVF」が使用されています。
ESLシリーズは、1989年に発売されたESGシリーズの後継機として、1990年、つまり1年後に発売されていますが、ご存じのとおり、ESGシリーズに採用されている「DUOREXⅡ」は、製造ロットの関係からか、液漏れが発生しやすいという欠陥を抱えています。そのため、デッキのメンテナンスに際してはこのコンデンサーの交換は必須作業となっています。
しかし、たった1年後に発売されたESLシリーズで、あえてコンデンサーの種類を変更したということは、使用後間もなく不具合が多発したのでしょうか?
当店でこれまで見てきたESGはほとんどが液漏れしたコンデンサーがそのままの状態ですので、所有者は購入後まったくその状態に気づかずに使用されてきたのでしょうから、たった1年で不具合が判明したとは考えにくく、製造メーカーにおいて何らかの大人の事情があったのではないかと推測されます。
30年も前の話ですから、今となっては知る由もありませんが、細かいところを観察するといろいろと不思議なところが見つかります。