DTC-2000ESの修理依頼をいただきました。お客様の愛機が故障したもののメーカーでの修理が叶わず、たまたま当店がオークションに他機種の整備済み品を出品していることがきっかけとなりました。
メールとお電話をいただきましたが、2000ESは名機中の名機でありますので、他機種への買い替えではなく修理を行うことをお勧めさせていただきました。これまで数回メーカー修理を行っているとのことでしたので、修理の参考とするため以前の修理内訳書も併せてお送りいただきました。
早速動作確認を行いますがトレイが開閉しません。ただし、モーターの音は聞こえてきますので、トレイベルトに不具合が起きているようです。
内部を確認します。
予想通りベルト切れです。SONYのデッキの中ではこの2000ESが一番多くベルト切れが多く発生します。
今回はこれで修理完了でしょうか?ところが、ベルトを新品に交換し動作を確認したところ、再生が早送りになります。リールも普通の数倍の速度で回転しています。この症状は何度も経験しています。ピンチローラーが脱落したときに起こるのですが、メカを覗き込むとピンチローラーはちゃんと付いていました。ということはキャプスタンの回転異常でしょうか?
キャプスタンモーターを手持ちのパーツの交換しましたが変化はありません。
内部のギヤも以前の修理により状態は良好に保たれています。一体原因は何でしょうか?
今一度メカを組み立てて、動作確認を行いました。ピンチローラーをよくよく見てみると・・・あれ???
見つけました。ピンチローラーが割れています。写真のような亀裂が数か所に発生しています。この亀裂によりキャプスタンとの間のグリップが低下し、テープがスリップして早送り状態になったものと思われます。
早速ピンチローラーを交換し、ほかにもモードベルト交換、テープパス点検などを行い修理は完了です。